トランプ大統領11月の大統領選を控える米トランプ大統領。選挙戦のためにも「中国叩き」は重要 !?  Photo:Pool/gettyimages

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の注目記事の要点を短時間でまとめ読みできてしまう『WSJ3分解説』。コロナ問題以前から貿易戦争で火花を散らしてきた米国と中国ですが、今その対立が新たな局面へ突入しつつあります。WSJでも以前から指摘されていた中国の横暴が、顕著になってきています。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

トランプ米大統領は
選挙戦で中国を利用すべき!?

 世界的な新型コロナウイルスのまん延が起こる前、米中関係はそれまでの緊張状態が緩和し、「雪解け」といわれていました。

 今からわずか4カ月前の2020年1月、米中は第一段階の経済・貿易協定に合意しました。米国はスマートフォンや家電に対して発動する予定だった追加関税を延期し、さらに約1200億ドル分の中国製品の関税率を低減することに同意。中国は米国産の農産品の輸入を今後2年間で2000億ドル拡大するとしていました。

 ところが新型コロナウイルスのまん延で世界は一変。米中関係も当時の「雪解け」ムードはどこかへ吹き飛んでしまいました。新型コロナウイルスの発生源を巡って両国政権幹部がののしり合うなど、対立の内容も経済・貿易に関するものから、より感情的なものへと変化していきました。

 米中の対立は、コロナ前後で全く別の局面、いってみれば「シーズン2」へ移行したといっていいでしょう。そしてこの「シーズン2」は、今年いっぱい続くかもしれません。

 米有力経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」の社説には、それを示唆する内容を論じています。

●「ウォール・ストリート・ジャーナル」より
>>【オピニオン】トランプ大統領再選の最善策は中国叩き

 今年11月、米国では大統領選挙が行われます。記事によれば、米トランプ大統領が選挙に勝つためには、中国をネタにすることが最善だというのです。

「ドナルド・トランプ大統領の再選につながる可能性が最も大きい道は、北京経由の道だということだ。米経済が壊滅状態となり、パンデミック(感染症の世界的大流行)が国土を荒廃させている状況下では、トランプ氏が2021年1月以降も大統領の地位を維持するための唯一の方策は、恐らく大統領選挙を中国に対する国民投票とすることだろう」

 記事ではその理由の第一に、米国民の中国に対する反感が強まっていることを挙げています。

「米国民の中国政府に対する反感は、不信感どころではなくなっている。シンクタンクのピュー研究所が最近行った世論調査では、中国のパワーと影響力を米国にとっての主要な脅威と考える者が共和党員の68%、民主党員の62%に上った」