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新型コロナ不況で金融危機が発生する可能性は否定できない。予測としてではないが、リスクシナリオとして頭の片隅に置いておきたい。(塚崎公義)

 新型コロナウイルス感染症のまん延による不況が金融危機をもたらすことを心配する人が増えているので、数回にわたるリスクシナリオのシリーズを記すこととした。第1回は、どのような金融危機が考えられるのかである。

金融危機は繰り返してきた

 過去、何回も金融危機は繰り返されてきた。典型的なのはバブルの崩壊による不良債権の増加で銀行経営が傾き、金融仲介機能が毀損された1990年代の日本のケースであろうし、リーマンショックもこれに大変よく似ていたが、原因はバブル崩壊に限らない。

 金融危機のきっかけは国内のできごとだけではない。途上国から大量の資金が引き揚げられて途上国通貨が暴落し、通貨危機が発生したこともある。アジアの通貨危機を覚えている読者も多いだろう。

 放漫財政で政府債務が膨らんで返済不能となったこともある。これはギリシャの債務危機が記憶に新しい。

 これに対し今回は、深刻な実体経済の低迷が原因で金融危機が起きるかもしれないといわれている。そんなことがあるのだろうか。可能性を考えてみよう。