人事コンフィデンシャルPhoto by Satoru Okada

事業会社の新トップこそ次の本命
「あたらしい幸せ発明部長」が登竜門に

 新型コロナウイルスの感染拡大という異例の経営環境の中、トップ交代を発表したのは、大丸松坂屋百貨店を擁するJ.フロント リテイリングだ。

 J.フロントの山本良一社長(69歳)は2003年、経営統合前の旧大丸社長に就任。以来、旧松坂屋との経営統合を主導した前任の奥田務特別顧問(80歳)の影響下にありながら、足かけ17年もの間トップを務めた。17~21年度までの中期経営計画の途中ではあるものの、東京・銀座の商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」のオープンや、大丸心斎橋店本館、渋谷パルコのリニューアル、そしてパルコの完全子会社化を成し遂げた。

 後任となるのは、傘下の大丸松坂屋の社長の好本達也氏(64歳)。5月の株主総会後に就任し、山本氏は取締役会議長に退く。好本氏は大丸松坂屋の社長を13年から務めており、山本氏の後任として長く名前が挙がってきた。今回のグループトップへの就任は、やや遅過ぎる感もある。

 というのも、「好本氏はあくまでつなぎ。新たに大丸松坂屋社長に就任する澤田太郎氏(60歳)に数年で交代するのではないか」(百貨店業界関係者)との見方が強いためだ。

山本良一社長と好本達也代表執行役常務新型コロナで臨時休業が迫られる中、J.フロント リテイリングの山本良一社長(右)からバトンを受け取った好本達也代表執行役常務 Photo by S.O.