改正相続#3Illustration by Yuuki Nara

自分にせよ、親にせよ、相続はいつか訪れるもの。いざそのときが来ても慌てないためには、相続の事前知識を身に付けておくことが大切だ。特集『改正相続、もめごと全解決!』第3回では、相続の流れと、誰が相続の当事者になりどんな権利があるのか、その基本を解説する。

「週刊ダイヤモンド」2020年5月2日・9日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

相続税を課せられる人が激増中
知っておきたい相続の基本

 日本人の相続財産のうち、4割を占めるのが不動産だ(図参照)。

 大都市圏では相続税評価の基準になる路線価の上昇が大きな要因となり、2015年の税制改正に伴う相続税の大増税以降も、相続税が課せられる人の割合は右肩上がりで増えている。

 18年の課税割合は全国で8.5%(下図参照)。都心はさらに多く、東京都でいえばおよそ6人に1人が課税対象となっている。

 つまり、相続は誰の上にも平等に訪れるが、かつては地主などの資産家や富裕層のぜいたくな悩みとされた相続税さえも、少なくない人が考えなければならない時代に入っているといえよう。

 では、相続はどのようなスケジュールで動いたらいいのだろうか。何よりも念頭に置かなければならないのは、相続税の申告と納付という「タイムリミット」が存在することだ。