保険ラボ

新型コロナのまん延で出現した
第5のチャネル「オンライン募集」

【第5のチャネルが出現】

 「まさか……」というのが、わが国の新型コロナウイルスの対応における全ての事象を一言で表現する言葉ではないだろうか。それは、長らく「当たり前」と思われてきたあらゆる「常識」を否定するものだった。

 保険もしかりだ。保険といえば、住宅に次いで高い買い物といわれるが、目に見える住宅と違って保険は無形物であり、永続的に販売できる商品だと信じられてきた。ところが、その保険であっても新型コロナという渦の中に取り込まれる事態となった。

 しかも昨年来、保険業界には暗雲が垂れ込めている。郵便局を舞台としたかんぽ生命保険の不適正販売による不信感の高まり、銀行を中心とした高齢者への保険販売における苦情も一向に減らない上、世界的な金利低下による外貨建て保険など貯蓄性保険の販売不振――。こうした保険業界に下された新たな鉄ついは、新型コロナをきっかけとする「密」を基本とした販売体制の否定だった。

保険ラボPhoto:HAKINMHAN/gettyimages

 お客さまと複数回の面談を経て契約に至るのが是とされる保険募集。高齢者に対しては、家族の同席など複数人での募集が求められている。だがコロナ禍がまん延する環境においては、これまで行ってきたお客さまへのアプローチが否定される事態となっている。

 そこで生命保険各社は、「緊急事態宣言の発出中において」という時限的な形で、ウェブ面談やデジタル募集といわれる「オンライン募集」のルール化に踏み切った。つまり、濃厚接触を余儀なくされる対面募集を回避するために、新たな販売形態を作り出したわけだ。