「まだまだ勉強中ですが」へりくだった挨拶は逆効果Photo:kimkimkaoru/123RF

ビジネスパーソンは忙しい。誰もがたくさんの仕事を抱えている。会議の中身を充実させることは大事だが、なにより、この会議体が一番大事だと思えるようにする必要がある。そこで、まずは相手や仲間をとにかく褒めて意欲を高め、「すごいチームに所属した」というプライドをもってもらうことがポイントとなる。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。

会議体の「プライド」を醸成する

 アイスブレークの中でもう1つ行ないたいのが、会議体のプライドの醸成です。会議の一番の目的は、そこでの話し合いを充実させることにとどまりません。それよりも大切なのは、この会議体が誰にとっても優先順位が高くあり続けることです。

 忙しいビジネスパーソンは誰しもたくさんのタスクを抱えています。せっかく会議で決めたことも、そのままでは単なる懸念事項の1つとして埋もれてしまいます。話し合いがうまくいっても、立派なプランが出ても、実行されなければ意味がありません。

 つまり、一人ひとりの参加者のそれぞれ限られた時間とエネルギーをどれだけ自分との仕事に振り分けてもらえるかが勝負なのです。仕事(=公)がすべてに優先されるわけではないグローバル環境ではなおさらです。

 この会議で扱ったトピックが、参加者全員にとって「とても大切なことだ。他を削ってもこれをやるんだ」という気持ちを持ち続けてもらう、この会議が「ちょっと特別なんだよね」と思い続けてもらう仕掛けが不可欠なのです。

 会議体のプライオリティを上げるためには、チームに対して高いプライドを持ってもらうことです。人は、誇りに思うチームのためなら、実力以上のものを発揮しようとエネルギーを注ぐようになるからです。

 そこで効果的な仕掛けが、「自他ともに褒める」「安心して働ける環境を作る」の2つです。アイスブレークの中にこれらの要素を散りばめていきます。