銅相場は上昇傾向にある。3月19日には、欧米各国で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、1トン当たり4371ドルと2016年1月以来の安値を付けた。これを受けてFRB(米連邦準備制度理事会)が緊急利下げをしたが、先行き不透明感が払拭できない状況だった。

 その後、FRBが米国債などを「必要な量だけ」購入する無制限の量的緩和を決定するなど各国の危機対応が進み、市場参加者の不安心理が和らぐ中、銅相場は上昇し、5000ドルを回復した。

 米国産原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の価格がマイナスに落ち込んだ翌日の4月21日には、動揺した投資家による換金売りが銅にも及び、4953ドルまで下落した。

 しかし、新型コロナの影響による銅供給の落ち込みや、中国景気が2月ごろを底に改善していること、欧米で経済再開の動きが広がってきたことが買い材料となり、相場は上昇傾向を維持した。新型コロナのワクチン候補の有望な治験結果が好感される場面もあった。