マイアミビーチ、フロリダ州Photo:The Washington Post/gettyimages

【フェニックス(米アリゾナ州)】米北東部の諸都市を壊滅状態にした新型コロナウイルスが、現在は南部と西部の諸州で感染者を急増させている。しかし状況は以前とは異なっている。

 若い人々が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で苦しんでいるのだ。ロックダウン(都市封鎖)の実施期間が短かった諸州は、人々にソーシャルディスタンシング(社会的距離の確保)やマスク着用を求めるのに苦労している。多くの人々は、いつもの夏と同じ行動をとっているようだ。保健医療分野の当局者らは、感染急増の場として、これまでのような介護施設ではなく、バーやホームパーティーについて警告している。病院に詰めかけているのは、重症化しやすい高齢者だけではない。20代から40代の人々も含まれている。

 一部の人々は、外出自粛の指示が解除されたことを、何の制限もない従来と同じ生活への復帰許可と受け止めた。フェニックスの起業家ジミー・フロレス氏(30)は6月6日の夜、友人らとナイトクラブでドリンクをシェアしていた。その2日後、彼は体調不良となり、翌週にはCOVID-19の感染が確認され、入院して酸素チューブにつながれた。

 フロレス氏は「私は若く、活動的で、健康で、基礎疾患もなかった。自分が感染することを真剣に考えていなかった。ソーシャルディスタンシングのガイドラインも守っていなかったし、マスクもしていなかった。私は無敵だと思っていた」と語った。これまで知り合いの中にCOVID-19の感染者が1人もいなかったフロレス氏だが、今は15人の感染者がいるという。フロレス氏は8日間入院した後、現在は自宅療養に入っている。

 米ジョンズ・ホプキンス大学のデータによると、6月26日の段階で、米国のCOVID-19の確認感染者数は240万人を超え、死者数は12万4000人以上となっている。1日当たりの新規感染者数は、5月に2万人前後に減少したあと、今は4月のピーク時と同程度の3万人超に戻っている。新規感染者数は、25日には過去最高の4万人近くに達し、そのほぼ半数をフロリダ、テキサス、カリフォルニア、アリゾナの4州が占めた。