手抜きでも外食レベルのごはんになる「1:1」の法則

このたび、『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』(日経BP)を刊行し、大きな話題となっている小竹貴子さん(クックパッド株式会社ブランディング・編集担当本部長。写真、右)に、『子育てベスト100ーー「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(ダイヤモンド社)を刊行したばかりの加藤紀子さんが話を聞いた。
仕事仲間として、友人として、常に最先端の情報を交換する二人が、ざっくりした比率を覚えるだけでいろんな料理ができる『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』の魅力について熱く語り合った(構成:杉本透子、写真:山口真由子)。

「SPRINT」を通じて知り合う

小竹 まずは私たちの関係からお話ししますね。きっかけは、グーグルの仕事術について書かれた『SPRINT 最速仕事術』(ダイヤモンド社)という本なんです。

加藤 世界的な大ベストセラーですよね。

小竹 クックパッドで新しいプロジェクトをはじめるときに、かなりの確率で、この本をベースにつくった「SPRINT」を実施します。そのため、社員の多くがこの本を読んでいます。本当にいい本です。

加藤 はい。

小竹 この本の魅力を調べているときに加藤さんが『SPRINT』について書かれた記事を見つけて。文章が明晰であまりにすばらしいので、「加藤さんにお会いしたい!」となりました。その後知り合いを通じて、加藤さんにお会いすることができました。

加藤 それが最初のご縁でしたよね。その後、『SPRINT』の著者、ジェイク・ナップさんにクックパッド社員の方と共にオンラインインタビューする企画が実現しました。SNSでもリアルでも共通の知り合いが多く、偶然のつながりで他にもお仕事でよくご一緒するようになって。

小竹 ビジネスだけでなく、加藤さんは私のプライベートの奥深くまでご存知なんです。私はふたり娘がいるんですが、長女が「受験をしたい」と言ったときも、真っ先に何をすればいいか聞きました。受験生の親としての向き合い方から学校選びまで、本当に色々教えていただきました。「SPRINT」がきっかけでこんなお付き合いになるとは思ってもみなかったですね。

ざっくりした比率だけ覚える。
家庭料理ってそれでいい

手抜きでも外食レベルのごはんになる「1:1」の法則『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』
小竹貴子=著、定価1500円+税、日経BP刊
急に料理が得意になる方法。クックパッド320万品のレシピを見てきたから、手を抜いてもおいしくなるギリギリのラインがわかる。簡単すぎる68品。

加藤 私は逆に、料理については小竹さんからいつも新しい知識をいただいています。最近は小竹さんのご著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』を読んで、ドレッシングを買うのをやめました。「お酢とオイルの1:1でドレッシングは作れるんだ!」とわかって。

 私も料理はよくするほうですが、サラダだけは苦手でドレッシングに頼りがちでした。でも1:1の比率のおかげでコールスローなんかも家で作るようになって。

小竹 加藤さんは元々お料理上手で知識も豊富なので、本をお渡しするのは緊張しました。でも1:1のドレッシングを実践してくださっているのはうれしいです。

 この本で目指したのは、読み終わったとき「料理のハードル下がった」と思っていただくことなんです。本で簡単な比率だけ覚えて、自分の味にして、料理にハマっていく。そんなステップを踏んでもらえたらいいなと思いました。

加藤 なんでも1:1でできるシンプルな比率がいいですよね。本の中で「和食はすべて酒:醤油:みりん=1:1:1」という提案があって、削ぎ落とし方が見事だなと思いました。ざっくりした比率だけ覚えて、あとは足りないものを足していくアプローチですよね。私も、家庭料理ってそれでいいと思っているんです。

小竹 比率に関しては、編集者の方と「この調味料は必要?」「もっと簡単においしくできないか?」と意見交換を重ねて、ギリギリのラインまで削ぎ落としました。作って味を確認してみるとそのほうがおいしいし、単純な比率のほうが理解もしやすくて、「なんでも1:1」は大きな発見でした

加藤 思い返すと、私もレシピなしで作れる料理は比率で覚えているものばかりです。たまにレパートリーにない料理はクックパッドを見て作りますが、調味料がフルラインナップだとその都度レシピを見ないと再現できない。

小竹 本を読んだ人から、「クックパッドを見ないで作れるって言っていいの?」とよく言われます(笑)。でも基本の比率を覚えるとクックパッドの見方も変わってくるんです。私自身がそうでしたから。

 よくレストランのシェフに「クックパッド見ています」と言っていただくのですが、プロの方はアイデアやバリエーションを見にいらしてるんですよね。

加藤 プロは材料に絶対必要なものが見えるから足し算、引き算ができるんでしょうね。家庭料理でも、基本ができている人はアレンジができる。

小竹 そうなんです。だからクックパッドのレシピをそのまま見るという使い方以外に、アイデアの引き出しを増やすヒントにしてほしいですね。レシピ通りに作り、そして結果、自分の味にしていくのが料理を楽しむコツですから。そうやって新しい使い方が広がると、料理はより楽しめるようになると思います。

手抜きでも外食レベルのごはんになる「1:1」の法則小竹貴子(こたけ・たかこ)
クックパッド株式会社コーポレートブランディング・編集担当本部長
1972年石川県生まれ。関西学院大学社会学部卒業。株式会社博報堂アイ・スタジオでWEBディレクターを経験後、2004年有限会社コイン(後のクックパッド株式会社)入社。広告主とユーザーのwin-winを叶えた全く新しいレシピコンテストを生み出す。2006年編集部門長就任、2008年執行役就任。2010年、日経ウーマンオブザイヤー2011受賞。2012年、クックパッド株式会社を退社、独立。2016年4月クックパッドに復職、現在に至る。また個人活動として料理教室なども開催している。シンプルでおいしく、しかも手順がとても簡単なレシピが大人気で、生徒から「料理のハードルが低くなった」「毎日料理が楽しいと感じられるようになるなんて」の声多数。このたび、日経BPから『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』を上梓、話題となっている。