ファンド大買収#5Photo by Toshiaki Usami

世界最大級の米投資会社カーライル・グループが、日本でのバイアウト(買収)に本格的に動き始めた。コロナ禍のさなかの今年3月、業界では過去最大規模の日本特化ファンドを設立。年内にも複数の投資案件を「ダン」するもようだ。2000年の日本拠点開設以来、26社に総額3000億円以上の投資実績がある外資系プライベート・エクイティ(PE)ファンドの雄は今、コロナ禍にあえぐ日本企業をどう見ているのか。特集『開戦 ファンド大買収』(全10回)の#5では、カーライル・ジャパンの山田和広代表を直撃した。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

コロナ禍によって
企業の整理統合が起こる

山田和広カーライル・ジャパン代表カーライル・ジャパンの山田和広代表 Photo by Toshiaki Usami

――コロナ禍における日本の産業界の現状をどう見ていますか。

 コロナ禍は過去の危機やリセッション(景気後退)とは違う。典型が飲食業で、例えば100席のレストランがソーシャルディスタンスを保とうとしたなら、全席埋まらなくなる。こうした消費行動や社会の構造的な変化が起こり、おそらくさまざまなビジネス市場でコロナ以前の100パーセントを取り戻せない。

 そうなれば大きなビジネスモデルの変化が必要となる。DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタル化を進めなければ生き残れない。全ての企業が生き残れないのであれば、コンソリデーション(整理統合)が起こらざるを得ない。

 日本のコングロマリット(複合企業)には、ノンコア事業が多いという認識は以前からあったが、なかなか変革が進まなかった。それは国内に十分なマーケットがあり、変わらなくてもサバイブできたから。アクティビスト(物言う株主)が少ないこともあり、経営者もマーケットをあまり気にしなくて済んだが、今後は企業側が自ら変革しなければ生き残れない。