◆「すべて同意! ビジネス価値創出への『5つの心構え』をまとめた決定版だ」(入山章栄・早稲田大学ビジネススクール教授)
◆「これは仕事術ではない。ゲームのルールは変えられることを証明した珠玉の実践知だ」(鈴木健・スマートニュース創業者・CEO)
 コロナ禍で社会構造やビジネスモデルが変化する今、「生産性」「効率」「成果」が見直されている。そんな中、各氏がこぞって大絶賛するのが『その仕事、全部やめてみよう』という書籍だ。
 著者は、ITベンチャーの代表を10年以上務め、現在は老舗金融企業のCTOを務める小野和俊氏。2つのキャリアを通して、それぞれがどんな特徴を持ち、そこで働く人がどんなことに悩み、仕事をしているのかを見てきた。その中で、ベンチャーにも大企業にも共通する「仕事の無駄」を見出す。
 本連載は、具体的なエピソードを交えながら、仕事の無駄を排除し、生産性を高めるための「仕事の進め方・考え方」を解説するものだ。

ダメなアイデアが生まれる「5つのパターン」Photo: Adobe Stock

「よいアイデア」と「ダメなアイデア」の差とは?

 よいアイデアとは、誰かの役に立つものだ。

 裏返して言うと、喜ぶ人の顔が見えてこないアイデアは、すべてダメだ。「そんなアイデアある?」と思うかもしれないが、むしろダメなアイデアのほうが多いかもしれない。

「この技術を使って何か新事業を立ち上げないといけない」という自社都合から生まれたアイデアなどは高確率でダメだ。

 さらに「このプロジェクトを成功させないと、これ以上の出世は難しいと言われた」などの理由で起案されたプロジェクトもうまくいかない。

 ダメなアイデアには傾向がある。誰の役に立つかわからないアイデアが出てきてしまいがちな「5つのパターン」を紹介する。

ダメなアイデアが生まれる5つパターン

①プレッシャーを受けて無理やり考えるとき
「数字がいってないじゃないか!」というプレッシャーを受けていると、「何か考えないと!」と焦って無理やりアイデアを出してしまいやすい。

②役職者の思いつきをとり入れるとき
 役職者は多くの場合、会社への貢献や何かしらの能力が評価されてその地位にいるが、的外れなことを言うこともある。役職者の思いつきを現場が忖そん度たくしてとり入れたプロジェクトもうまくいかない。

③変に差別化しようとするとき
 他社との差別化は極めて重要なことだが、差別化を目的にするのは危険だ。誰も求めていないプロダクトが生まれがちだ。

④流行に安易に寄せるとき
 必要に応じて時代の変化にキャッチアップしていくことは重要だ。だが、流行の追いすぎも危ない。古きよきものを大切にしながら、新しいものをとり入れていく姿勢が大切だ。

⑤「この機能が追加されれば大型案件がとれる」というとき
 追加機能によって顧客が混乱することもある。多くの顧客から「それはいい。なるほどね」と思われるものに昇華できるか検討していこう。

 この5つの罠に陥らないようにするために何が大事なのか。