プロスポーツ#12Photo by Kuninobu Akutsu

特集『激震! コロナvsプロスポーツ』(全12回)の最終回では、プロ野球やJリーグでのビジネス経験も豊富な並木裕太氏がアフターコロナのスポーツビジネスをフェーズ1~3に分けて分析。さらにJリーグが掲げる地域密着型とは異なる、「1チーム集約型」でサッカーを国民的スポーツにする大胆な改革案も披露してもらった。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

オンライン視聴の魅力度アップが課題
ドローンを使えばウイイレ的な動画も

――コロナ禍でのスポーツビジネスを、プロ野球やJリーグでのビジネス経験が豊富なコンサルタントとして分析いただけないでしょうか。

 フェーズ1が今年だとしたら、ディフェンシブなアクションが必要です。選手やチームスタッフの感染予防対策のノウハウと、サポーターのスタジアムでの観戦時における感染予防対策のノウハウ、これらの確立が急務だと思います。

――今年は守りを固めるとして、来年以降はどうすればいいでしょうか。

 来年のフェーズ2になると、オンライン視聴の魅力度を上げていく必要があります。例えば、スタジアムでドローンを飛ばせるようになると、本当に「ウイニングイレブン」(編集部注:シリーズ累計1億本以上販売された人気ゲーム)みたいに見えます。これが実現すれば、課金するとウイニングイレブンビューでドローンがボールに付いていく中継が見られるようにすることもできます。NFLでは、すでにSkyCamという撮影方法が導入されていて、ワイヤでつるされた可動式のカメラで、スタンドからの固定カメラではできないような臨場感あふれる中継を実現しています。

――それだけで減収分をカバーできるのでしょうか。

 オンライン視聴が進化すれば、スポーツ界のビジネスチャンスが増加します。例えば欧米で流行しているファンタジースポーツ。簡単に仕組みを説明すると、サッカーであればJリーグの全チームから自分の好きなイレブンを選び、自分だけのチームをつくります。彼らの試合での活躍に応じてポイントがもらえ、最も活躍した11人を選んだ人がチャンピオンになれるわけです。オンライン化されると、瞬時に選手ごとの過去のプレー映像のアーカイブにアクセスできたり、特定のチームの特定の状況における特定の選手のデータを引っ張れたりするようになるでしょう。無料で楽しむケースもありますが、欧米では多くの場合、参加料に応じてポイントが高い人が賞金をもらえます。日本の場合、今の法規制では参加費を払い、賞金をもらうことは難しいですが、コロナ禍だからこそビジネス化される可能性はあると思います。新財源獲得のためにも2022年、23年ごろには解禁してほしいですね。

――さらに進んだ「スポーツベッティングの解禁」を期待する声も多いです。