さまざまな業務プロセス改革の実践で、NECグループ10万人の成長を支えているNECマネジメントパートナー。その中でも開発サポートサービス事業部が注力するのが、高度化・複雑化する開発現場の業務効率化、開発者を付帯業務から解放し、開発業務に専念させるサポートだ。

NECマネジメントパートナー
開発サポートサービス事業部
プロジェクトサポート部
荒木辰也 部長

「私たちは基本的に“問題がない開発現場はない”と考えています。特に潜在化する問題に気付いていない開発現場はかなり多い。その見えない課題を、第三者視点で明らかにした上で、業務効率化を実現するための本質的な方法を提案しています」

 そう話すのは、開発サポートサービス事業部プロジェクトサポート部の荒木辰也部長だ。

 NECマネジメントパートナー(以下、NMP)は、NECグループの経営強化を目的に、NECグループ各社から広範に間接業務をアウトソーシングとして請け負うシェアードサービスセンター。開発サポートサービス事業部は、もともとマニュアルなどのドキュメント制作が中心だったが、近年は社内外の開発現場の業務効率化に力を入れている。

 開発業務を効率化するためには、まず業務の仕分けと標準化が不可欠になる。具体的には、プロジェクトマネジャー(以下、プロマネ)や開発者が本来注力すべき「コア業務」に集中し、それ以外の「ノンコア業務」を第三者に委託できる環境を整備することが重要になる。

「ところが実際の開発現場では、コア業務とノンコア業務を切り離すことが難しい。“開発者の脳内で業務がブラックボックス化されていて、分担したくてもできない”と思われているからです。それを切り離すには、開発者から業務プロセスを客観的かつ具体的な情報として取り出した上で、業務を仕分けした上で標準化する必要があります」(荒木部長)

ノンコア業務を切り出し“働き方改革”を実現する

 具体例を見てみよう。ある企業の開発部門では、システム開発文書の作成が優秀な開発者に集中し、本来のコア業務がおろそかになっていることが問題だった。

 そこでNMPは、「リーン・シックス・シグマ(LSS)」(無駄取りを軸にした「リーン」と、ばらつきに着目した品質管理手法である「シックス・シグマ」の二つの業務改善手法を組み合わせた国際標準の手法)によって、開発プロセスの可視化・分析を行い、ドキュメント業務の切り分けに取り組んだ。

NECマネジメントパートナー
佐藤誠治
執行役員兼開発サポートサービス事業部長

 ワークショップやヒアリングを実施して情報を引き出し、作業プロセスを細かく分解してフロー図の形に整理、そこに情報の流れや、所要時間などを書き加えていく。すると、これまで開発者でないと処理できないと考えられていた業務の多くが、NMPで肩代わりできることが判明した。経験を積んだNMPメンバーのテクニカルライティングによって文書品質が向上し、プロジェクト全体の品質も向上したという。

 佐藤誠治執行役員兼開発サポートサービス事業部長は、業務効率化の効果について、「定量的な効果としては、ドキュメント作成業務の工数が最大40%程度削減され、負荷が比較的高い月でも30%程度の工数負担で済むようになりました。第三者視点でプロセスを見直せば、省けるところが明確になる。開発者は残業時間が大幅に減り、空き時間を利用して新技術を習得するなど、開発現場の働き方改革にもつながっています」と説明する。