デジタルコンテンツの作成・閲覧ソフトウエアで数々の業界標準を築いた世界最大のソフト専業メーカーが、新たに狙う分野とは。

アドビシステムズ社長兼CEO(最高経営責任者)<br />シャンタヌ・ナラヤン<br />クラウドでのソフト提供と<br />デジタルマーケティングに注力Photo by Kazutoshi Sumitomo

──デジタルコンテンツの制作と、それをさまざまなメディアやデバイスに展開するためのソリューション製品を、今年5月より従来のパッケージソフト形態に加え、オンラインでのクラウド方式でも提供を開始した。その狙いは。

 当社のミッションはデジタル経験を通して世界に変革を促すことにある。雑誌、新聞、ウェブサイトであれ、何らかのコンテンツを作成するときには当社の製品が使われているが、新しい時代におけるクリエイティブプロセスとして今、必ず挙がってくるのがモバイル化であり、電子的なコンテンツの配信だ。この部分を手助けしていくには、まずはわれわれ自身がクリエイティブプロセスを再構築しなければならないと思った。その最も野心的な提案が、今回の「クリエイティブクラウド」だ。日本も含め、グローバルで上々のスタートを切っている。

──新たな事業の柱として、デジタルマーケティング関連のソリューションにも力を入れている。

 今日の企業活動において、次の自動化の対象はマーケティングだ。すべての企業がオンラインで顧客との直接的な関係を築いている中、自分たちのサイトへの来訪者をいかに忠誠心の高いお客に変えられるかが課題になっている。

 当社はデジタルメディア関連の製品でブランド、コンテンツを確立し、そしてオンラインで築いたプレゼンスを管理するデジタルマーケティングでもサポートできる。コンテンツとデータ管理の両面で価値を提供できるという点で、ユニークな存在だと思う。