百戦錬磨の外資系コンサルが書く提案書のノウハウはこれ! まずは読んでもらえる、わかってもらえる提案書をすばやく書こう! 99パーセントの問題をカバーする7つの提案書のパターンから1つを選び、4枚のシートに落とすだけ。もう「枚数で勝負」は終わりにしましょう!『外資系コンサルの30分で提案書を書く技術』は、外資系コンサルティング会社で学んだ万能の提案書の書き方の入門書です。ここでは、そのエッセンスをコンパクトに紹介します。

経営者が提案に納得しない理由とは?

 ある時、優れた提案書には両面性があることに気づきました。両面性とは、新鮮でユニークで大胆な側面と、細心で着実で現場感のある側面のことです。すぐれた提案書はこの両面性を持っていて、“二重人格”なのです。

 このことを少し詳しく説明してみます。筆者が外資系のコンサルティング会社にいたときは、外部の第三者という立場から、クライアントの課題解決を支援していました。課題をかかえているクライアントの外側にいますから、クライアントの内部事情にとらわれることなくゼロベースで考えて大胆な提案を行ってきたつもりです。もちろん、クライアントもそのような活動を期待していました。

 一方で、経営トップや経営幹部の支援活動を行うようになると、クライアントの組織内部に入り込み、彼らの意向をくみとって課題解決に取り組むことになります。この場合、クライアントの内部にいますから、彼らの社内事情に精通し、彼らの悩みの核心にも触れることができます。そうすると、クライアントの組織を動かすために現実的で細心な提案をも考えることになります。

 経営トップや経営幹部への助言役として、コンサルティング会社などの外部専門家の提案を受けてみると、いろいろな気づきがありました。思いの外、提案がつまらないのです。新鮮でユニークで大胆な側面を期待するのですが、そうでもなくありきたりの提案が多いのです。またクライアント社内の実情を踏まえて提案内容の修正を依頼しても、なかなか期待したような提案がでてこないのです。細心で着実で現場感のある側面がみえてこないのです。

 一方で、クライアント社内の人材からの提案を受けることもあります。こちらも思いの外、提案がつまらないのです。はじめから落としどころが決まっているような提案が多いです。少ない努力で実行は可能そうですが、それを実行したところで組織の変化や会社の成長に貢献できるのか、疑問に感じることが少なくありません。

 このような経験からあるときふっと気づいたことは、経営トップが期待する提案には両面性があるということです。外部専門家がもっているような新鮮でユニークで大胆な視点。社内の実務家がもっているようない細心で着実で現場感のある視点。すぐれた提案書はこのような両面性をもった“二重人格”なのです。