「いつもポジティブな子」の親がしている3大習慣Photo by Adobe Stock

新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

人は「ネガティブ」なことに引っ張られる

 人間はネガティブな感情や思考は忘れにくく、ついそのことばかり考えてしまう傾向にあります。

 進化の過程で恐怖や不安、怒りや非難といったネガティブな感情を抱くことで生命の危険から身を守ってきた結果、脳がそうしたネガティブな感情のほうが重要だと判断するようになったからです。

 ネガティブな感情は緊張や疲労感、無気力や自信のなさにつながるので、失敗を恐れず、新しいものに挑戦しようとする気持ちや行動にブレーキをかけてしまいます。

 そこで、国際ポジティブ心理学会理事のイローナ・ボニウェル博士は、ネガティブな感情を「肩に乗って考え方の癖を吹き込んでくるオウム」にたとえ、子どもの感じ方を変えていくプログラムを編み出しました(足立啓美他著、イローナ・ボニウェル監修『子どもの「逆境に負けない心」を育てる本』法研)

 オウムには、「誰かのせいだ」と言う非難オウム、「それは正しくない」と言う正義オウム、「自分はみんなより劣っている」と言う敗北者オウム、「きっと悪いことが起こる」と思い込む心配オウム、「できるわけないよ」と思うあきらめオウム、「自分が悪いんだ」と自分を責める罪悪感オウム、「自分には関係ないし」と問題から目を背ける無関心オウムの7種類がいます。

 子どもがネガティブな思考に陥っているときは、この中でどのタイプが肩に乗っているのかを一緒に考え、そのオウムを追い払う方法を考えます。

 そして、オウムが吹き込む否定的な表現を、肯定的な表現に置き換えていきます。

 そのようにして気持ちを立て直すことで、ポジティブな気持ちや行動へと子どもを導きます。では、具体的にどのようにしていけばいいでしょうか?

【その1】「前向きな言葉」を考えさせる

 まずは子どものネガティブな感情に「そうだよね」「わかるよ」と共感したうえで、「少しだけ前向きに言い方を変えてみたらどうなるかな」とうながします。

 オウムの言っているセリフをイメージし、その後に「でも……」と続けて、どんなふうに言葉を続ければ、前向きな行動につなげられるかを考えさせるのです。

 たとえば「あいつのやったことは悪い」と言う非難オウムや正義オウムには、「でも、自分が悪いところもあるかもしれないから直すようにしよう」と続けられます。

「うまくいくか不安だ」と言う心配オウムには、「でも、やらないよりやったほうがいい経験になるかも」。

「自分にできるわけがない」と言うあきらめオウムや敗北者オウムには「でも、もう少しだけがんばってみよう」。

 そんな具合に続けていくと、ネガティブな感情がポジティブな感情に少しずつ変わっていきます。

【その2】「自分を励ます言葉」を考えさせる

 ネガティブな言葉を言ってくるオウムではなく、どんな言葉をかけてくれるオウムがいたらいいかを一緒に考えます。

「大丈夫! やればできるよ」と言ってくれる励ましオウムや、「よくやっているよ。リラックス、リラックス」と言ってくれるリラックスオウムなど、自分を元気づけてくれたり、安心させてくれるようなオウムを、自由な発想でイメージします。

【その3】「Yes, and」のマインドを大切にする

 夢のような話をするとき、子どもの心はポジティブな感情であふれています。ですが大人はつい現実的に考え、「さすがにそれは無理……」と水を差してしまうことがあります。

 また、「それは素晴らしいアイデアだね。でも……」といったんは肯定しつつ、実現の可能性が低いなどの理由で結局は否定する言い方(Yes, but)も、子どもの感情をネガティブなほうへと導いてしまいます。

 創造力の聖地、シリコンバレーでは、自由な発想やアイデアを遮断しないよう、「Yes, and」の思考が充満しているといわれています。「そうだね、それで……」と、もっとその発想を深めていくような問いかけです。

 子どもに対しても、「それで、どんなことができるの?」「それはどうしたら実現できるかな?」というポジティブなコミュニケーションをとることで、創造力を前向きに伸ばしていくことができます。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)