益子修氏益子修氏 Photo:Bloomberg/gettyimages

益子修会長が
突然の退任

 三菱自動車工業を約16年にわたり率いてきた益子修会長が8月7日、退任した。三菱自の益子会長といえば、自動車業界で「もう一人の長期政権の修さん」と呼ばれていたようにスズキの鈴木修会長と並んで“重鎮”だった。

 2人とも同名の修さんであるが、鈴木修会長はスズキのオーナー家に婿入りしてからスズキを“軽自動車の雄”にのし上げ、インドで圧倒的なシェアを誇る世界企業に飛躍させたカリスマ経営者だ。

 対する益子修会長の場合は、事情が違った。名門の三菱自動車が大規模なリコール隠しで深刻な経営危機に瀕したことで、三菱商事自動車事業本部長から転籍して再建を託された。その後も三菱自の経営は度重なる不祥事などで大きく揺れ動き、結果的に長期間、経営トップを務めざるを得ない状況になってしまったのだ。

 今回の益子会長の退任発表は、唐突であった。三菱自は、益子会長の「健康上の理由」によるものとしているが、本来なら6月の株主総会で発表すべきものであり、三菱自に何らかの“異変”があったと受けとめられても仕方がない。