東芝テック,レジ,複合機東芝テックの2大製品であるPOSレジ(左)と複合機。これらにシナジーがないことが長年の課題だ 写真提供:東芝テック

コロナ禍で、東芝に唯一残る上場子会社、東芝テックに、分割と事業売却を求める圧力が高まっている。在宅勤務によるペーパーレス化により、プリンターやFAXなどの機能を持つ複合機の売上高が激減しているためだ。複合機の事業をどう整理するかは、東芝本体の成長戦略にも大きな影響を及ぼしそうだ。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

在宅勤務のペーパーレス化で
売り上げ4割減! リストラ前倒し

 モノ言う株主が創業者らを社外取締役として送り込もうと株主提案を行ったことで東芝の株主総会は大揺れとなった。結果的に提案は否決され東芝経営陣は何とか難所を切り抜けることができた。だが、一難去ってまた一難である。足元で、上場子会社の問題が再燃しているのだ。

 東芝は2019年11月、発電所などを建設する東芝プラントシステムなど上場子会社3社を完全子会社化し、「親子上場」を解消することを決めた。親子上場は、親会社と子会社の少数株主との間で利益相反の恐れがあるため解消が求められているからだ。

 そうした中、東芝に唯一残る上場子会社が東芝テックだった。東芝テックの完全子会社化について判断が保留になったのは、東芝本体とシナジーがなく、かつ市場が縮小するとみられる複合機を扱うプリンティング事業を抱えているためだった。