関節や筋肉の痛みは、安静にしたり、自分で適切なケアをするだけで改善する場合もある。しかし、中には進行する病気や、命にかかわる病気が関係している危険性もあるので、素人判断は危険だ。どんな場合に受診を急げばいいか、ポイントを見てみよう。

こりや痛みにしびれを
伴ったら早期受診を

 日常生活からくる肩こりや五十肩、寝違え、慢性腰痛などは、自分でもある程度ケアできる。しかし、注意しなければならないのは、椎骨が変形して神経に影響を及ぼしていたり(骨棘(こつきょく))、菌に感染して炎症が起きていたりするような場合だ。また腫瘍などが原因で症状が起こる場合もある。

 これらの場合は、単にだるさやこり、痛みを感じるだけでなく、しびれ、麻痺、手足や指が動かしにくいなどの神経症状を伴うことが多い。そのような時は迷わずに受診したい。

 また、しばらく様子を見ても症状が治まらない場合や、悪化したりする場合も放置せず受診することが必要である。

肩の激痛の半数は五十肩
2年ほどで自然回復

 中高年の肩の痛みは五十肩や腱板断裂(けんばんだんれつ)など、肩関節を包む関節包という膜に炎症が起こる肩関節周囲炎が主流だ。肩関節の炎症により、腕を動かすと肩が痛むのが共通する症状で、腕の外側の激痛など痛みで眠れない場合がある。

 中高年の肩の痛みでは、ほぼ半数が、五十肩だ。

 多くは、一定方向への肩の動きで痛みが起こり、安静時は症状が出ないのが特徴。

 痛みが激しい急性期(~3カ月)、痛みは落ち着くものの肩が動かしにくくなる慢性期(~1年)、痛みはほぼ消え、肩の動きもある程度回復する回復期(~2年)と、長い経過で回復することを知っていれば、いざという時、あせらずにすむ。

 腱板断裂は、腕骨と肩甲骨をつないで動きをコントロールする薄い筋肉(腱板)が裂けたり、切れたりして起こる炎症で、中高年の肩の痛みの2~3割を占める。