現在、8年ぶりの青島取材旅行中。出発する直前に、私は関係者から勧められた宿泊先を断り、青島海景花園大酒店というホテルを選んだ。このホテルは海には近いが、周辺には何もないし、市内から離れているためかなり不便だ。しかし、なぜこのホテルを宿泊先に選ぶのか、その話をするには、11年前の2001年まで遡らなければならない。

11年前の感激

 同年10月、研修生つまり出稼ぎ労働者を日本に送り続ける町を視察するため、山東省威海を訪問した。泊まったホテルはランダムに選んだ。車を走らせたら、海辺に近い小山の上にある「海景花園飯店」というホテルが気に入った。そこに泊まろうと決め、チェックインの手続きをしていると、どうしたわけか咳が止まらなくなった。過労が重なったために体調が崩れたのだろうと思った。

 そばで私が苦しそうに咳をしているのを見たフロントマネージャーが、すかさずにトローチを出してくれた。その上、「喉にいい料理を厨房でつくらせましょうか」と声をかけてくれた。そこまでは迷惑をかけたくないため、丁重におことわりしたが、その温かさには感激した。

 客室に入ってパソコンを使おうと思ったところ、電源がないことに気付いた。昼間だからスタンドランプはいらないと判断し、スタンドランプの電源を抜いて、代わりにパソコンのプラグを差し込んだ。小一時間パソコンにむかって原稿を書き、出発時間が迫ったのでパソコンは電源を切ったままにして出かけた。夜、部屋に戻ると、机になんと新しいコンセントが用意されていた。これでスタンドランプとパソコンが同時に使えるようになったのだ。すこし昼寝をしたベッドもきちんと皺が伸びている。

 夜もホテルのレストランで食事をした。席に入ると、笑顔の若いウエイトレスに「お昼と同じ竜井茶を用意してもよろしいですか」と声をかけられた。なんと昼に飲んだお茶を覚えていてくれたことに、一同はびっくりした。