香港国家安全維持法の「遡及適用」、日本人も巻き込まれる恐怖とは香港の一国二制度は終焉するのか(2013年撮影)

国安法は属地主義を無視した
トンデモ法である

香港国家安全維持法の「遡及適用」、日本人も巻き込まれる恐怖とは中国本土との規制の違いから日本人を採用した広告が多い香港

 香港の国家安全維持法(国安法)が一国二制度を壊すと日本のメディアでも注目され続けている。6月30日に成立、7月1日施行。しかも、施行されるまで国安法の中身が不明という、もはや法律の成立過程も中国化してしまった感がある。国安法施行は香港の一国二制度の終焉だと語る識者も多い。

 数量政策学者の高橋洋一氏は、国安法が「域外適用」にあたり、属地主義を無視したトンデモ法であると繰り返し述べている。たとえ、日本在住で香港にいなくても香港政府を批判したり、習近平政権を非難したりすると国安法違反となり、拘束される恐れがあるという、まるで世界覇権の国のような乱暴な法律だ。

中国の多くの法律は内容が曖昧
「後付け利用」が横行している!?

 中国の法律は、今回の国安法だけでなく、反スパイ法(2014年11月施行)、国家情報法(2017年6月施行)も、内容は非常に曖昧で、広く浅く理念のみを示したような内容となっている。中国法制の研究者によれば、中国の多くの法律は、どうとでも解釈できるものが多く、拘束した後にこの法律に違反すると、後付けで利用されることが少なくないと話す。