リモートワーク下で、上司と部下に有効なコミュニケーションとは?写真はイメージです。Photo:Adobe Stock

「新型コロナウイルス感染症拡大防止」を機に急速に広がったリモートワークですが、「部下の仕事を管理できない」「部下のモチベーションが下がっているような気がする」といった悩みがしばしば聞こえてきます。20年の現場体験を持つ、企業内キャリアコンサルタントは、こんなときに上司をどのような気づきへと導いていくのでしょうか。

リモートワークをきっかけに
コミュニケーションはどう変わったか?

「リモートワーク」や「テレワーク」がここまで浸透するとは、『企業内キャリアコンサルティング入門』(ダイヤモンド社刊)を上梓した2019年10月には、全く想像していませんでした。従来、直接顔を合わせて集まるのが当たり前だった会議が、「Zoomでも十分にやっていける」と手ごたえを感じている人が多いのではないでしょうか。

 他方、組織内でのコミュニケーションはどうでしょうか。これまでなら、朝、顔を合わせた時に、「〇〇さん、元気がなさそうだけど、何かあったのかな?」といった微妙な違和感、それがリモートでは感じることができなくなりました。退社後のひと時や休憩時間のちょっとした雑談から、仕事のヒントを得たり、職場の雰囲気を感じたりすることが難しくなり、孤立感を覚えているという話すらよく耳にします。

 このような非言語の情報が少なくなったことで、上司と部下のあいだのコミュニケーションの難易度は上がりました。部下のちょっとした変化を見逃してしまい、部下からの報告の背景や真意に気づけないことも出てくるかもしれません。部下が自分で解決したいと思っているのか、上司から声をかけてもらえることを待っているのか、それを見抜けなければ適切な対応ができないでしょう。

 ただ、部下の真意がわからないというのは、リモートワークのせいだけなのでしょうか。これまでも、部下のちょっとした変化に気づいて声をかけるなどしてきたでしょうか。