夕方6時に
会社の電源をすべて切れば
日本人が変わる！

世界1200都市を訪れ、1万冊超を読破した“現代の知の巨人”、稀代の読書家として知られる出口治明APU（立命館アジア太平洋大学）学長。歴史への造詣が深いことから、京都大学の「国際人のグローバル・リテラシー」特別講義では世界史の講義を受け持った。
その出口学長が、3年をかけて書き上げた大著が、大手書店のベストセラーとなり、話題となっている。BC1000年前後に生まれた世界最古の宗教家・ゾロアスター、BC624年頃に生まれた世界最古の哲学者・タレスから現代のレヴィ＝ストロースまで、哲学者・宗教家の肖像100点以上を用いて、世界史を背骨に、日本人が最も苦手とする「哲学と宗教」の全史を初めて体系的に解説した本だ。なぜ、今、哲学だけではなく、宗教を同時に学ぶ必要があるのか？
直木賞作家・作詞家のなかにし礼さんが激賞、脳研究者で東京大学教授の池谷裕二氏が絶賛、小説家の宮部みゆき氏が推薦、某有名書店員が「100年残る王道の1冊」「2019年で一番の本」と断言した、『哲学と宗教全史』が、2400円＋税という高額本にもかかわらず9万部を突破。
10/16には「ビジネス書大賞2020 特別賞（ビジネス教養部門）」を受賞。「読者が選ぶビジネス書グランプリ2020」では総合グランプリ第6位、リベラルアーツ部門第2位。本連載も累計170万PV（ページビュー）を突破した。
「日経新聞」「日経MJ」「朝日新聞」「読売新聞」「北海道新聞」「中国新聞」「京都新聞」「神戸新聞」「中日新聞」で大きく掲載。“HONZ”『致知』『週刊朝日』『サンデー毎日』「読売新聞」でも書評が掲載され、話題となっている。
今回も6月17日にダイヤモンド経営者倶楽部「特別定例会」で行われた出口氏の講演「グローバル人材と日本の課題」の後に開催された質疑応答の様子を特別にお送りしよう。

年2000時間労働の日本人が、
変わる方法

出口：はい。後ろの方、どうぞ。

――「メシ、風呂、寝る」で年間2000時間も働いている日本人が、どうしたら「人、本、旅」の生活に変わりますか？　とことんそれを言い続けることが大事でしょうか。

出口：長時間労働をやめる方法は学者がすでに答えを出しています。

一番簡単な方法は、
経営者が夕方6時になったら、
社内のすべての電源を切ってしまえば
間違いなく労働時間は減ります。

こんな話をすると、

「おまえはアホか？　そんなことをしたら、仕事を家に持って帰るだけだ」

と反論される方がいますが、これも学者は追跡調査をして答えを出しています。

家に持ち帰った仕事は、ほぼ3ヵ月できれいに跡形もなく消え去ります。

みなさんが明日、会社の電源を夕方6時に切ります。

社員は全部仕事を家に持って帰ります。

家族は協力的です。

「お父ちゃん、お母ちゃん、大変やね。仕事頑張って」

子どもたちも最初はやさしい言葉をかけてくれるでしょう。

でも、これが連日続けばどうなるでしょうか。

家族みんなが腹が立ってきて、みんなが足を引っ張ります。

すると、家で仕事ができなくなります。

今、日本企業でも、週に1～3日、ノー残業デーを設定していますが、これも電源を切るのと同じで労働時間を削減する取り組みですね。

僕が10年間、経営していたライフネット生命で、あるとき、女性社員から呼び出されました。

「もっと男性職員に集中して働くように指導してください。
私たちは保育園に赤ちゃんを迎えに行かないといけないから、
夕方5時には会社を出なきゃいけないんです。
だから集中して仕事をこなしている。
でも、育児に関心がない男性はダラダラやっている。
なんでもっと厳しく集中して働けと指導してくれないんですか」

僕はすぐに幹部を集めて、仕事に集中しようという話をしました。

何事もシンプルに考える。難しく考えないことですね。

――ありがとうございます。

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続きは次回にしましょう。

過去の僕の『哲学と宗教全史』全連載は「連載バックナンバー」にありますので、ぜひご覧いただき、楽しんでいただけたらと思います。