【パワーポイント仕事術】できる人が使っている、「簡単」なのに「超効果的」なアニメーションの技Photo: Adobe Stock

パワーポイントでプレゼン資料をつくるのに時間がとられる……。
そんな悩みを抱えているビジネスパーソンが増えています。そこで、ソフトバンク在籍時に、最速で「一発OK」を勝ち取るプレゼン資料をつくるノウハウを磨き上げた前田鎌利さんにまとめていただいたのが、『パワーポイント最速仕事術』(ダイヤモンド社)です。
「パワーポイント最速仕事術」のポイントは2つ。
まず、「優れたスライドの型」を把握することです。見た瞬間に内容が理解できるスライドには、「テキスト」「図形」「グラフ」「画像」「アニメーション」などの「型」があります。その「スライドの型」をゴールにすれば、いちいち「どのようなスライドにしようか?」と悩む必要がありません。次に、その「スライドの型」を最速でつくるパワーポイントの操作法をマスターすることです。パワポには多くの機能がありますが、「スライドの型」をつくるために必要な機能はごくごく限られています。その限られた機能をマスターするだけで、「一発OK」がとれる優れたプレゼン資料があっという間に出来上がるのです。
そして、『パワーポイント最速仕事術』では、「スライドの型」と「その型をつくるためのパワーポイントの操作法」を、ビジュアル満載で紹介しています。本連載では、その一部を抜粋しながら、優れたプレゼン資料を「最速」でつくるノウハウを解説してまいります。

インパクトを与えるなら「ワイプ」

 私がプレゼン資料で活用するアニメーションは、主に「フェード」と「ワイプ」です。この二つをマスターしておけば、ほとんど事足りると言っても過言ではありません(ただし、ZOOMなどでプレゼンをする場合には、データが重いために通信遅延が生じやすいため、アニメーションの多用は避けたほうがよいでしょう)。

「フェード」の使い方と設定方法については、連載第33回でお伝えしましたので、ここでは、「ワイプ」の設定方法をお伝えします。

 まず、「ワイプ」の活用イメージを共有しましょう。下図をご覧ください。

 画像だけのスライドに、左から右へ「デジタルトランスフォーメーション」というキーワードを「ワイプ」で差し込むことで、このキーワードを印象づけることを狙ったものです。

【パワーポイント仕事術】できる人が使っている、「簡単」なのに「超効果的」なアニメーションの技

「ワイプ」を設定する

「ワイプ」で注意していただきたいのは、オブジェクトを「差し込む方向」です。

 このスライドのように、横書きのテキストを差し込むときには、「横書き(左から右)」と同方向の「左から右」で差し込むようにしてください。「目の流れ」に逆らう方向(右から左)に「ワイプ」でテキストを差し込むと、強い違和感を感じるからです。

 この点を踏まえて、次の手順で設定します。

 まず、下図の1のように、キーメッセージを「帯透過」で表示します(帯透過の作り方は連載第29回を参照ください)。そのうえで、キーメッセージのテキストボックスと、透過処理をした長方形の図形を「グループ化」します。

【手順1】図形とテキストボックスを「グループ化」する。

【パワーポイント仕事術】できる人が使っている、「簡単」なのに「超効果的」なアニメーションの技1 [Ctrl+左クリック]で図形とテキストボックスを選択。[2 ホーム>3 配置>4 グループ化]をクリックする。

 

【手順2】グループ化したオブジェクトを選択して[アニメーション>ワイプ]をクリックする。

【パワーポイント仕事術】できる人が使っている、「簡単」なのに「超効果的」なアニメーションの技1グループ化したオブジェクトを選択したうえで、[2 アニメーション>3 ワイプ]を選択。

 

【手順3】[アニメーション>効果のオプション>左から]を選択する。

【パワーポイント仕事術】できる人が使っている、「簡単」なのに「超効果的」なアニメーションの技[1 アニメーション>2 効果のオプション]で「左から」に設定。

 

【手順4】[アニメーション>継続時間>0.75~1秒]に設定する。

[1 アニメーション>2 継続時間]を「0.75~1秒」に設定。[3開始]は「クリック時」にデフォルト設定されているので、このままでOK。

 

 以上で、「ワイプ」の設定は完了です。非常に使い勝手がよいアニメーションなので、ぜひマスターしてください。

【パワーポイント仕事術】できる人が使っている、「簡単」なのに「超効果的」なアニメーションの技
前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
2016年株式会社固を設立。ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業者、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。プレゼンテーション協会代表理事、サイバー大学客員講師、情報経営イノベーション専門職大学 客員教授なども務める。