「一見それほどでもない症状でも、実は放っておくとこわい症状も少なくないのです。最初は気にもとめないわずかな症状が、放っておくと、取り返しがつかない大病になることもあります」。そう話すのは、テレビでも人気の総合内科専門医・秋津壽男氏だ。体からのSOSサインに気づかず、後悔することになってしまった方をこれまでたくさん見てきたという。秋津医師の新刊『放っておくとこわい症状大全~早期発見しないと後悔する病気のサインだけ集めました』は、まさにこうした病気で後悔する人を少しでも減らしたいという想いから生まれたものだ。9月16日に発売となった本書の内容を抜粋するかたちで、自分や家族の健康チェックに役立つ情報を紹介していく。

医者が「レントゲンバス」での肺がん検診を断る理由Photo: Adobe Stock

手軽なレントゲンバスのデメリットとは?

 肺がんは早期発見で治りやすいがんですが、肺の面積に比べて早期がんはごく小さく、なかなか症状にあらわれません。そのため、気づいたときにはがんが大きくなっていることが多いうえ、転移しやすい特徴もあります。これが、肺がんが難治性のがんといわれるゆえんです。

 ですから、私としては「今もっともやってほしいがん検診」として真っ先に肺がん検診をあげます。胸部レントゲンさえ撮れば、小さな肺がんでも発見できるからです。肺がんは「検診をやらないと損ながん」と肝に銘じておきましょう。

 ついでに申し上げておくと、バスにレントゲンの機械をのせ、地域や会社に撮りに来る検査はあまりおすすめできません。病院のレントゲンよりはるかに被曝量が多いうえ、画像の解析度が低いからです。

 検診車がわざわざ来てくれるから便利だと思うでしょうが、もしバスで検診を行う場合は、「レントゲンだけは病院で撮るので」と断り、病院で検査するほうがいいでしょう。

(本原稿は、秋津壽男著『放っておくとこわい症状大全』からの抜粋です)

秋津壽男(あきつ・としお)

秋津医院院長
1954年和歌山県生まれ。1977年大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をし、和歌山県立医科大学医学部に入学。1986年に同大学を卒業後、循環器内科に入局。心臓カテーテル、ドップラー心エコー等を学ぶ。その後、東京労災病院等を経て、1998年に東京都品川区戸越銀座に秋津医院を開業。下町の一次医療を担う総合内科専門医として絶大な支持を集める。現在、「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系列)にレギュラー出演中。ベストセラーとなった『長生きするのはどっち?』『がんにならないのはどっち?』シリーズ(あさ出版)ほか、著書多数。新刊『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)が2020年9月16日に発売。