新しいマネジメントの教科書#14Photo:imagenavi/gettyimages

今、多くの働く人が「雑談がないこと」に悩んでいる。リモート会議は議題に沿って進むため、それ以外の話はしづらく、新卒者や転職者がノウハウを得にくかったり、チーム形成や熱量アップが難しくなったりするからだ。そこで、あえて正式な経費での飲み会を推奨するなど、雑談の場を設ける企業が増えている。特集『新しいマネジメントの教科書』(全18回)の#14では、雑談の場の提供という、コロナ禍での管理職の新必須スキルについて紹介する。(ダイヤモンド編集部 塙 花梨、山出暁子)

自然に雑談の場を設定できるかが
コロナ禍時代の上司の腕の見せどころ

 多くの上司と部下が「雑談がないこと」に悩んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大でリモートワークが定着し、議題ベースで進む会議ばかりで、日常会話をすることが難しくなってきているからだ。

 ある産業医は「会社での雑談は必要。メンタルヘルスの分野では、雑談には効用があるとされています。そもそも日常会話ができないような職場はハラスメントが起きやすいし、たわいのない話ができないようでは、部下が上司に相談するなんて無理ですから」と解説する。

 雑談がないという悩みを解決すべく、多くの企業ではコロナ禍以降、意識的に「リモート雑談の場」を設けている。

 例えば、朝の始業前にZoomなどのリモート会議システムを通じて疑似的に朝礼を開催。「今日のお題は“好きな映画”についてです」などと、話題を振って雑談するのだ。この手の「リモート雑談」は、おおむね前向きに受け止めている人が多い。

 しかし、取材をしていると「わざわざ雑談をするのが、うざい」(大手通信会社若手女性社員)といった声が、幾つか聞こえてきたのも事実。

 つまり、わざとらしくなく、時間の無駄と感じさせないようにうまく雑談の場を設定できることが、コロナ時代の上司に求められているスキルといえるだろう。

 取材では、当初は上司が気を使ってリモート雑談の場をあえて設定していたが、いつの間にか若手が盛り上がり、勝手に開催するようになったというケースも聞いた。これは場をうまく設定できたからこその、ポジティブな効果といえよう。

 そして、雑談から一歩進んでさらに交流を深めようというのが「オンライン飲み会」「Zoom飲み会」だ。

 ただし、こちらのオンライン飲み会は、雑談よりもさらに好き嫌いが分かれている。もっと言えば「疲れる」「もうやりたくない」という声をかなり多く聞いた。進め方に悩む管理職も多い。なぜだろうか。