西友が楽天・KKR傘下へ、米ウォルマートが300億円で売却打診Photo by Masahiro Shimizu

米小売り最大手ウォルマートが、傘下の国内スーパー西友を約300億円で売却する打診をしている。売り先は米投資ファンドKKRと、楽天。ダイヤモンド編集部の取材で分かった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

ウォルマート、資本業務提携から18年
投資金額の8分の1で西友を大安売り

 米小売り最大手ウォルマートが、傘下の国内スーパー西友を約300億円で売却する打診をしていることが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。売り先は米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)と、楽天になる。

 ウォルマートは2002年に西友と資本業務提携を結んだ。その後、段階的に西友の株式を買い増していき、08年に完全子会社化した。この間、ウォルマートが投じた資金の総額は、約2500億円に上る。

 ウォルマートは、西友にEDLP(エブリデイ・ロー・プライス、毎日安売り)など米国流の売り場作りを植え付けようとしたが、国内で台頭するディスカウントストアやドラッグストアなどの安売り攻勢に阻まれ、うまくいかなかった。

 現在ウォルマートは、保有する西友株の全てをKKRと楽天に300億円前後で売却すべく調整している。投資金額(約2500億円)の8分の1となる大安売りだ。ただ、その後ウォルマートは新規の資金、数十億円を投入して、西友株の15%を改めて保有する構え。最終的にKKRと楽天の保有比率は、それぞれ65%、20%になる。

 楽天は、18年から西友と共同で「楽天西友ネットスーパー」を展開している。ライバルのアマゾンジャパンも別の食品スーパーと手を組んで、ネットスーパー事業に力を入れている。このため楽天はアマゾンへの対抗上、西友への出資に踏み切る。

 西友は、23都道府県に332店舗(20年6月時点)を持ち、従業員数は2万4265人(20年1月時点、臨時雇用者含む)。売上高の数字は非開示だが、7000億円程度とみられている。

 西友は、1956年に西武百貨店の一事業部が独立して誕生した、「西武ストアー」が前身である。スーパーのチェーン展開を進め、83年に「西友」に社名変更した。ちなみに「無印良品」は、西友のプライベートブランドとして生み出されたものだ。

 バブル崩壊後、西友は業績が低迷。デフレと過剰債務に苦しんで、ウォルマートに救済される形で外資の軍門に下った経緯がある。

 なおダイヤモンド・オンラインでは、この売却の背景などについて『西友が300億円でウォルマートから楽天・KKRに「大安売り」される理由』で詳報している。

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