第一と損保ジャパンの乗り合い提案に対する攻防の中身

第一と損保ジャパンの提携内容見直しで
水面下で始まった攻防戦

 9月14日、損保ジャパンの損保代理店に対し、第一生命保険による第一傘下のネオファースト生命保険と第一フロンティア生命保険の乗り合い提案が解禁された。予想されていたことではあったが、水面下で第一と損保ジャパン両社の攻防戦が繰り広げられている。

 この乗り合い提案の解禁に関しては、本連載9月23日配信記事『第一生命と損保ジャパンの提携内容見直しで、騒然とするひまわり生命』を参照していただきたいが、以下、簡単に経緯を説明しておこう。

 第一と損保ジャパンの業務提携は20年前の2000年にさかのぼる。生損保それぞれの業界で2位だった両社は、激動期にあった保険業界での生き残りを懸けて包括業務提携に踏み切った。

 当時は将来の経営統合も視野に入っていたが、その後の両社が独自路線を歩んできたのは周知の通り。もっとも、商品の相互供給は今なお続いており、第一の営業職員が損保ジャパンの自動車保険や火災保険を販売し、損保ジャパンの損保プロ代理店が第一の生保商品を販売し続けている。

 だが、その提携にはほころびが見え始めていた。第一による損保ジャパンの商品販売は安定的に推移しているが、損保ジャパンの代理店による第一商品の販売は厳しさを増していた。あまつさえ、損保業界ではクロスセルの推進が積年の課題となっている中、損保プロ代理店が第一の商品を販売するのは荷が重過ぎたのだ。損保プロ代理店に第一の商品の営業をかけねばならない損保ジャパンの担当者たちからは、悲鳴が上がっていた。

 そこで、両社の役割分担を見直し、損保プロ代理店に対する営業推進や新契約事務などは第一の担当者が担うことになった。併せて、目下、代理店施策を拡大中の第一は、傘下のネオファーストと第一フロンティアの乗り合い提案を行うことへの了承を、損保ジャパンから取り付けることに成功した。その乗り合い提案の解禁日が9月14日だったというわけだ。

 そして、この日を境に両社の水面下の攻防戦が幕を開けた――。