金利戦争を仕掛けるみちのく銀行金利戦争を仕掛けるみちのく銀行 Photo by Yasuo Katatae

「そんなに低くて大丈夫?」
地元企業も心配する苛烈「金利戦争」

 11月初旬に初雪を観測して冬本番を迎えた北東北だが、それとは裏腹に、当地の地銀各行は過熱する「金利戦争」の真っただ中にある。

 仕掛けているのは青森県の第一地銀、みちのく銀行だ。

 10月、岩手県内で自動車整備業などを手掛ける企業の社長は、運転資金を借りるために、岩手県制度融資「岩手県新型コロナウイルス感染症対応資金」の活用を決めた。

 この制度は無担保で、融資限度額は4000万円以内、融資期間は10年以内(据え置き期間5年以内)、融資利率は固定金利で年1.4%以内というもの。融資実行から3年間分の利子を補助される。

 社長は早速、以前から付き合いのあった岩手銀行と東北銀行、北日本銀行から、3年目以降の利率の提案を受けることにした。すると3行は「口裏を合わせたように、そろって1.4%から動かせないという内容だった」(前述の社長)。

 そこで仕方なく、みちのく銀にも相談したところ岩手3行の半分以下である、0.6%という破格の提案をしてきたのだ。

「(金利が)本当にそんなに低くて大丈夫なのかと思った」(前述の社長)

 コロナ禍以前から、岩手の地銀3行で利率を競争し、取引先を奪い合うことはあった。ただ、みちのく銀がなりふり構わず、これほど積極的に岩手市場を攻め込むことはこれまでなかったという。