『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

「教養がない」のがコンプレックスの人が最初に知るべき学び方の大原則Photo: Adobe Stock

[質問]
 今までほとんど勉強をしないまま高校を卒業し、22歳になりました。大学には行かず働いているのですが、最近知識の無さ、教養の無さを感じるようになって焦りを感じています。

 勉強をしたら解決すると思うのですが、その勉強のやり方が分かりません。私レベルの人間は効率など気にせず、がむしゃらに勉強した方がいいのでしょうか?

「学び方」よりも、まず気にすべきは「続ける仕組み」

[読書猿の回答】
 がむしゃらな気持ちというのは間欠泉のようなもので、時々吹き上がりますが、やがてしぼみます。そうなっても学び続けることができるかどうか。

「仕組み」と申し上げるのは、人間には体温を一定に保つメカニズムは生まれつき備わっていても、意志を保つメカニズムを持たないからです。私達はトカゲのような変温動物に学ぶ必要があります。トカゲは体温を保つために日向ぼっこします。つまり体温を保つために外的環境を変えるのです。

 実を言うと学校は、学ぶことがますます不可避となった人類が、長い時間をかけて開発/改良してきた学習のための外的環境です。いつもすぐ近くにいる自分と似た学習者、学習を指導し監視する教師、気が散る刺激を極力排除できる教室や授業のデザインなど、ヒトという生き物の仕様に合わせた無数の工夫からなる構築物です。

 私たち独学者は、学校に伍する仕組み/環境を自前で用意する必要があります。学び続けることさえできれば、多少の非効率はいくらでも逆転できます。