理系が実践している合理的な方法を読書に応用した『理系読書 読書効率を最大化する超合理的サイクル』は、本をまるで理科の実験のように扱い、最短最速でスキルハントする。インプットとアウトプットが速すぎて、「速く読むこと」や「大量に覚えること」を目的とする読書術とは、一線を画した内容。最短最速で著者の経験知やノウハウを自分の頭にインストールし、自分の問題解決に役立てる至極の読書術です。
読書が習慣になっている人には重宝される技術でも、そもそも、何の本を読めばいいのかわからないという方もいるでしょう。そこで今回は、あるテーマに絞ったおすすめ本(課題図書)を紹介します。興味を持った本がありましたら、ぜひ、「理系読書」の技術を使って、自分のモノにしてください。

「クリティカルシンキング」を手っ取りばやく手に入れるビジネス書4選Photo: Adobe Stock

本にある内容を4つの視点で疑う

 理系読書では、本にある内容を「疑うこと」をルーティンとしています。なぜ、疑うのか。著者がうそをついていると思っているわけではありませんが、理系は常に書かれている情報に対し、「事実かどうか」「科学的根拠があるか」「ロジックに誤りがないか」「ポジショントーク(自分の立場を利用して自分に有利になるような記述)になっていないか」、目を向ける習慣があります。

 その本にあるノウハウなどの情報を鵜呑みにしたまま実践すると、ムダな失敗をする確率が高くなります。そこでまずは、抽出した情報に厳しい目を向けて精査する作業が必要となります。抽出した情報を精査する際、ベースとなる考え方は「クリティカルシンキング」です。

 クリティカルシンキングとは、端的にいいますと、「情報を鵜呑みにせず、適切な基準や根拠に基づいた偏りのない思考法」です。クリティカルシンキングで論文や本を読むことを、「クリティカルリーディング」ともいいます。自然科学に限らず、人文科学や社会科学を扱う科学者のあいだでは、クリティカルリーディングは必須のスキルとされています。

 このクリティカルリーディングの基礎を知りたい方におすすめの書籍があります。それが、『クリティカル・リーディング入門 人文系のための読書レッスン』(大出敦著、慶應義塾大学教養研究センター監修、慶應義塾大学出版会)です。文系出身の方がクリティカルリーディングをゼロから身につけたい方には、特におすすめです。

 また、クリティカルリーディングのスキルを短期間でしっかり身につけたい方にお薦めなのが、『科学技術をよく考える クリティカルシンキング練習帳』(伊勢田哲治・戸田山和久・調麻佐志・村上祐子編、名古屋大学出版会)です。本書は理系ネタが豊富なので、本書を使って練習をすることで、理系読書でいうクリティカルリーディングのスキルを手っ取り早く身につけることができます。

 なお、ビジネスの現場でクリティカルリーディングを使いたい人におすすめの本が、『改訂3版 グロービスMBAクリティカル・シンキング』(グロービス経営大学院著、ダイヤモンド社)です。内容は少し固めでとっつきにくい印象を受けるかもしれませんが、ケーススタディがとても豊富で、実践に重きを置いているビジネスパーソンには非常におすすめです。

 クリティカルシンキング、つまり健全に疑う思考を身につけ、効率よく成果を出すための「理系読書」をぜひ実践してみてください。