過去数カ月の本欄の主張を要約すると、米国大統領選挙と新型コロナウイルスのワクチン開発の後には、海外投資家は日本株式市場に戻ってくると予想し、その場合には景気敏感株が魅力的だというものだった。

 11月の日本の株式市場はそれまでのレンジ相場から一気に上放れた。日経平均株価で見て2万6000円を大きく超える展開となっている。今年それまで6兆円を超える売り越しであった海外投資家が11月の第3週までに2.8兆円の買い越しに転じたこと(次ページ、上図参照)の背景には三つの要因があると考えている。

 第一に、バイデン氏が次期米国大統領になるとみられることから、米中貿易関係が改善するのではないかという期待。第二に、新型コロナのワクチン開発に進展が見られたことにより、来年には収束の可能性が出てきたこと。

 第三に、経済政策の総動員。コロナ禍による経済的ダメージから回復することが世界の多くの政府で優先事項とされ、財政政策がさらに打ち出されようとしている。