会談を行った文在寅大統領と王毅外相会談を行った文在寅大統領(右)と王毅外相 Photo:Handout/gettyimages

王毅外相の訪韓は
対韓工作の一環

 中国の王毅国務委員兼外相が11月25~27日韓国を訪問した。26日には康京和(カン・ギョンファ)外相と会談、文在寅大統領を表敬した。

 王毅外相の日程で注目されるのは、タイトな非公式日程である。27日には李海チャン(イ・へチャン)元首相・「共に民主党」前代表、朴炳錫(パク・ビョンソク)国会議長ら与党内の代表的「中国通」と呼ばれる実力者にすべて会談した形になっている。李海チャン氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領や文大統領の特使として中国を訪問している。

 王毅外相が韓国を訪問した目的は「バイデン新政権発足を意識した、米国へのけん制と朝鮮半島問題で米国に主導権を渡さないとの姿勢」であろう。王毅氏はさまざまな会談で米国新政権の発足に伴う米韓関係の変化が米中関係に及ぼす影響、北朝鮮問題に関する中間の役割について幅広く意見交換している。

 しかし、韓国側が大きな期待を有する習近平主席の年内訪韓などについては、何ら進展はなく、むしろ後退したかの感がある。

 中国側としては、日米豪印が進める中国包囲網「クアッド」への韓国の参加をけん制し、少なくとも中立を維持することを求めている。中国にとって、習近平国家主席の訪韓は米韓の離間を画策する最高のカードであり、トランプ政権が退陣し、バイデン政権となって米国の出方を見た上で行使することになるであろう。