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銀行の未来の姿に光を当てる連載「銀行の近未来」。11月10日、りそなホールディングスは連結子会社である関西みらいフィナンシャルグループに対するTOB(株式公開買い付け)を発表した。今後、関西での地方銀行の再編にどう関わるのか。南昌宏社長に直撃した。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

りそなが連結子会社の関西みらいにTOB
課題だったスピード感とコスト構造

――関西みらいフィナンシャルグループ(FG)に対するTOB(株式公開買い付け)を発表しましたが、目的を教えてください。

 今から2年半前に、歴史も考え方も違う(大阪府の近畿大阪銀行と関西アーバン銀行、兵庫県のみなと銀行の)3つの地域金融機関が一つとなり、関西みらいFGとして営業開始した。スタートから1年で、近畿大阪銀行と関西アーバン銀行が合併して関西みらい銀行となり、そこから半年で事務システムの統合を行った。過去の銀行再編と比べても、相当なスピード感でいろいろな動きが出ていた。菅(哲哉・関西みらいFG社長)を先頭に、ガバナンスが有効に機能していたのがこの裏返しだ。

 ここは評価しているが、金融を取り巻く環境は変わった。新型コロナウイルス感染症が現れ、将来の不透明感や変化のスピードはギアが上がった。意思決定のスピードを最大限に上げて、グループの成長速度を加速する必要がある。

 さらに、関西みらいFGの(経営の効率性を示す)経費率は(2020年度4~9月期では)83%と、改善の余地がある。グループ傘下のりそな銀行と埼玉りそな銀行も抱える構造的問題は同じで、銀行の稼ぐ力とそれを支える仕組みやコストがミスマッチになった。グループ一体となり経営資源を集めて、業務プロセスを再構築することでコストダウンを図る。

――りそな銀行の経費率(同62%)と比べると、関西みらいFGは店舗再編などの改革のスピードが生ぬるいと感じたのでしょうか。