教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材をものに「いま、もっとも子どものためになる」ことをまとめ、15万部を突破した話題の書『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。
今回、『子育てベスト100』著者の加藤紀子氏が、『東大教授が教えるやばい日本史』監修者の本郷和人氏に、子育てや教育について聞いた。東大教授がぜひ親にオススメしたいこととは?(構成:小川晶子、写真:山口真由子)
※対談前回「東大教授が語る『日本人が英語ができないのは当たり前』な理由」コチラ

「親に勧めたい子育て」第3位:ペットを飼うこと

加藤紀子(以下、加藤) 『子育てベスト100』では、子育てにいいと言われているメソッド100個を挙げているわけですが、本郷先生がお考えになる「子育てベスト3」を教えていただけますか。

本郷和人(以下、本郷) まず、「ペットを飼うこと」。生き物の世話をすることで、やさしい気持ちを育むというのはもちろんあります。

 僕はそれ以上に「死の実感」を得ることが大きいと思っています。昔は大家族でおじいちゃん、おばあちゃんが家にいたし、身近な人の死が普通にあったんですよね。でも、いまはなかなか死を実感する機会がない。

 大事にかわいがって育てているペットの死を体験したら、生きること・死ぬことを考えるでしょう? 生きるってどういうことかとか、死はイヤだなとかというのは人生の根幹に関わる部分。

 子どものうちから生死について考えていたら、やはり違うと思います。僕は2歳の頃、保育園でちょっと高いところに登って「人は死ぬとどこへ行くんだろう?」と言っていたそうです。

加藤 すごい! 小さな哲学者。

本郷 おじいちゃんの死が身近にあったからです。ペットがいれば自然に体験できますから、いいと思います。

東大教授が「これはするべき」と親に勧める3つのこと加藤紀子(かとう・のりこ)
1973年京都市出まれ。1996年東京大学経済学部卒業。国際電信電話(現KDDI)に入社。その後、渡米。帰国後は中学受験、海外大学進学、国際バカロレア、教育分野を中心に「NewsPicks」「プレジデントFamily」「ReseMom(リセマム)」「ダイヤモンド・オンライン」などさまざまなメディアで旺盛な取材、執筆を続けている。一男一女の母。膨大な資料と取材から「いま一番子どものためになること」をまとめた『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』が15万部を超える大きな話題となっている。

「親に勧めたい子育て」第2位:親ができないことを要求しない

本郷 2つ目は、親ができないことを要求しない。

加藤 なるほど、わかります。自分ができないのに、子どもにばかりやれと言うのはダメ。

本郷 つるかめ算、植木算、旅人算……。小学生の算数だって難しいですよ。親が自分で解いてみたらいい。解けないから(笑)。それから、親はよく「本を読め」って言うけど、親自身が全然本を読んでいないんだったら子どもは読みませんよ。

加藤『子育てベスト100』の中でも紹介したのですが、厚生労働省が小学2年生とその親を対象に調査したところによると、子どもが1か月に読む本の冊数は、両親が読む本の冊数にほぼ比例していました。たしかに、親が本を読まないと、子どもも読まないんです。

本郷 自分のことを棚に上げて、子どもに言ってもねぇ。子どもに過剰な要求をして、あれもこれもと背負わせるのはかわいそうです。

加藤 本当ですね。むしろ、親ができないようなことを子どもができたとしたら、「よくがんばったね」と褒めてあげることが大事だと思います。

東大教授が「これはするべき」と親に勧める3つのこと本郷和人(ほんごう・かずと)
東京都出身。東京大学・同大学院で石井進氏・五味文彦氏に師事し日本中世史を学ぶ。大河ドラマ『平清盛』など、ドラマ、アニメ、漫画の時代考証にも携わっている。おもな著書に『新・中世王権論』『日本史のツボ』(ともに文藝春秋)、『戦いの日本史』(KADOKAWA)、『戦国武将の明暗』(新潮社)など。監修を務めた『東大教授がおしえる やばい日本史』は子どもから大人まで大きな人気となり、37万部突破のベストセラーとなっている。