東京海上HD社長グループCEO「勇み足に過ぎず、逃げずにコロナリスクをカバーしたい」

未曽有のコロナ禍で日本経済が損害を被った2020年、損害保険会社の存在感は薄かった。既存の商品の補償対象外だったからだ。 コロナによる影響がまだ続くとみられる21年、損保会社はどのようなスタンスで臨むのか。「週刊ダイヤモンド」2020・2021年12月26日・1月2日新年合併特大号に掲載したインタビューの拡大版をお届けする。

コロナで損害保険という商品の
存在意義が問われた2020年

――2020年を振り返ってみて、どんな年でしたか。

 あっという間。20年1年が始まったときを思い出すと、19年と18年は自然災害が多かったので、穏やかな年になるといいなと思っていました。ただ、すぐに米国とイランのコンフリクト(衝突)があり、2月にはコロナ禍が本格的に始まりました。

 “コロナ一色”というわけではありませんでしたが、印象的な年だったと思います。

東京海上ホールディングス小宮暁こみや・さとる/1960年8月神奈川県生まれ。83年4月東京海上火災保険入社。2015年4月東京海上ホールディングス執行役員経営企画部長。18年6月同社専務取締役海外事業統括。19年6月より現職。 Photo by Yoshihisa Wada

――2020年はコロナ禍によって、損害保険会社の存在意義や商品の価値そのものが問われた年だったのではないでしょうか。

 10年前の東日本大震災や大規模な水害などが起きたときにも、損害保険会社の存在意義を考えました。東京海上グループでは、お客さまの「いざ」を守り、支えるという事業目的を掲げていますが、今回のコロナ禍で、その事業目的を改めて意識し、お客さまの期待に応えなくてはならないという覚悟を強くしました。