2021年は米国の景気回復過程のドル安を見込む。このドル安は、米国の景気、株価のみならず、新興国や資源の相場にもプラスに作用すると期待される。ただしドル安のあおりで円高、ユーロ高になると、日欧の経済・株価は圧迫されやすい。

 ドル安サイクルを整理しよう。上図(次ページ)は、米景気サイクルを「軟化→下降→回復→加速→成熟」の5局面に分け、同国の株式、長短金利、ドル円の巡り合わせの基本パターンを描いている。長年、円はドル相場サイクルの受け皿だった。

 ドル安円高は米景気の下降~回復局面に典型的な現象。米景気悪化で株安、金利低下が進んでドル安になる展開に違和感はないだろう。景気下降中に、金利低下を背景に株の金融相場が始まる頃、ドルは一時買い戻されるが、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和継続でドル安に戻った。