三菱UFJ亀澤宏規・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長(左)、三毛兼承・三菱UFJ銀行頭取(右)と手を合わせる半沢淳一新頭取 Photo by Takahiro Tanoue

12月24日、三菱UFJ銀行が頭取交代を発表した。2021年4月に三毛兼承頭取が持ち株会社の会長に退き、半沢淳一氏が取締役常務執行役員から頭取に昇格する。同行は長らく、競合の三井住友銀行に「本業利益」で後塵を拝し続けている。王座奪還の悲願は、「半沢」の名を冠する新頭取に託された。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

三菱UFJ銀行で約4年ぶりに頭取交代
半沢淳一氏が13人抜きで常務から昇格

「金融界は変革と躍動の時代に向かうと前向きに捉えている。(中略)もちろん今までと同じやり方であれば、デジタルシフトの面で時代をリードする存在にはなれないという危機感もある」

 2017年6月に起きた、前任の健康問題に伴う緊急交代から約3年半。三菱UFJ銀行は、混乱を収め銀行の顔役を務め上げてきた三毛兼承頭取(64歳)から、経営企画部での経験豊富な半沢淳一・取締役常務執行役員(55歳)に頭取の座を引き継ぐ人事を発表した。

 半沢氏の頭取就任は来年4月となる。新型コロナウイルスが猛威を振るう中での厳しい船出となりそうだが、記者会見の場で半沢新頭取は、変貌する金融界に向けた意気込みを粛々と語った。

 今回の三菱UFJ銀の頭取人事は、異例と王道の両方の要素を兼ね備えている。

 異例な面は、副頭取から頭取への昇格が通常だった三菱UFJ銀において、副頭取でも専務でもない常務の半沢氏が、13人いる上位役職者を抜いて選ばれたことにある。昨年は持ち株会社の三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)の社長に、三毛氏より若い亀澤宏規氏(59歳)が就任したが、それに続いて“年功序列”を無視したトップ人事が起きたかたちとなる。

 片や、他のメガバンク幹部からは「三菱らしく王道を行った」という声も上がる。その理由は、半沢氏の選出が三菱UFJ銀で長らく貫かれていた“頭取のおきて”に準ずるものだからだろう。