2021年の世界経済を脅かす、異常気象による地政学リスクPhoto:Gary Hershorn/gettyimages

ラニーニャ現象と
政治的イベントの関係

 2020年は米国とイランの対立、その後の新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が大混乱となった。オリンピックが東京で予定されていたことなど、今となっては嘘のようである。しかし、過去の異常気象の発生状況を振り返ると、2021年も穏やかな年にはならないかもしれない。

 すでに2020年12月時点でラニーニャ現象が発生している。気象庁ではラニーニャ現象の定義を、太平洋の赤道付近の海面温度の5カ月移動平均値が、過去30年の数値よりも0.5度以上低い状態が続く現象としている。また、逆に0.5度以上高くなる現象をエルニーニョ現象と定義している(なお、この定義は国によって微妙に異なる)。

 エルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、世界各地で異常気象が発生しやすくなる。例えば直近の世界の異常気象(2020年9~11月)を見ると、足元の北アジアの気温低下とは裏腹に、世界的に高温となっている。「エルニーニョ・ラニーニャ現象発生時の異常気象の種類や規模は傾向がある」とされているが、必ずしもその傾向通りの気象になるわけではない。