総予測#48Photo by Hideyuki Watanabe

電機メーカーの「優等生」とされた三菱電機が変調を来している。従業員の自殺が相次ぎ、足元では米中対立などで業績が悪化。米テスラが空調に参入するなどゲームチェンジャーも現れた。特集『総予測2021』(全79回)の#48では、杉山武史社長に軌道修正の考え方を聞いた。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

「週刊ダイヤモンド」2020年12月26日・2021年1月2日合併号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は原則、雑誌掲載時のもの。

労務問題が多発している
三菱電機社長を直撃!

――過労自殺などで社員5人が相次いで労災認定されました。2020年1月に打ち出した再発防止策に追加する対策を11月に発表しましたが、その狙いは何ですか。

 1月に打ち出した「職場風土改革プログラム」を補強するためです。開始から約1年たち、定着したところもある一方で、できていない点もあると思っていました。

 それでコンサルティング会社や利害関係のない弁護士といった第三者に入ってもらって、三菱電機の取り組みを評価してもらいました。職場で直接、従業員の生の声を吸い上げ、不十分な点について助言を頂きました。

 それを受けて、われわれ経営者や労働組合などで、ハラスメントや過重労働撲滅に向けた労使の基本姿勢などを盛り込んだ「労使共同宣言5か条」を採択し、全社一丸で取り組む意志を示しました。

 具体策としては、管理職の360度評価(部下からも上司を評価をする仕組み)を始めました。これまで若手社員に対してのサポートがうまくやれていなかったり、ハラスメント的な発言があったりといわれているからです。従業員の働きがいやライフワークバランスなどを重要指標に位置付け、年1回、全従業員にアンケートを行って検証します。

――それでも、複数回、複数の県で社員が自殺してしまうということは、組織の体質に問題があるのではないでしょうか。