2020年10月の就職率(季節調整値)

2020年10月の就職率(季節調整値)出所:厚生労働省「一般職業紹介状況」

 新型コロナウイルスの感染拡大で、日本経済は厳しい状況が続いているものの、これまでのところ雇用情勢は緩やかな悪化にとどまっている。2020年10月の失業率は3.1%と、19年12月の2.2%を底に上昇傾向にあるものの、リーマンショック後のピークである5.5%(09年7月)を大きく下回っている。10月の有効求人倍率も1.04倍と、依然として求人が求職を上回っている。

 もっとも、新型コロナの雇用への影響は一様ではなく、一部の業種は深刻な打撃を受けている。10月の就業者数を業種別に見ると、宿泊・飲食サービス業は前年比▲9.5%と、減少率は就業者全体(同▲1.4%)を大きく上回った。また、雇用形態別では、非正規雇用の減少が目立ち、新型コロナの影響が雇用の不安定な労働者に集中していることが見て取れる。