頭が柔らかい人の習慣「五感を使って考える」Photo: Adobe Stock

先行きの見えない2021年。これからは「新しいこと」や「人と違ったこと」を考えるスキルが重要になってくる。だが、「考える」といっても、いったい何をどう考えればいいのか?
そんな人に読んでほしいのが、このたび刊行された書籍『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』だ。
著者の藤原麻里菜氏は、「無駄づくり」という異色のコンテンツをネットを中心に展開しており、これまでに何百もの作品を発表、その人気は海外にも波及し、台湾での個展では2万5000人もの観客が殺到、SNS再生数は4000万回にも達する話題の発明家だ。
そんな著者が、これまでに発明を何年も継続してきた中でつかんだ「考えるテクニック」をあますところなく詰め込んだのが本書だ。「何も出てこない……」とうんうんとうなっているなら、本書をパッと開いて、好きなワザを使ってみてほしい。「逆転」「主語変え」「マナー破り」「合体」「似たもの合わせ」……便利に使える思考ワザが満載である。
本稿ではこの『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』から特別に、一部を抜粋・編集して紹介する。

問題解決に「五感」を使う

 本書第3章では、アイディアを考えるために「問題を発見し、その解決策を探る」ことを勧めていますが、世の中には「五感」を刺激することで解決できる問題もあります。人の注意を引きたいとき、音や光を使うことで気づいてもらえるし、体を触ったりすることもそうです。

 目覚まし時計は、まさに人間の五感に刺激を与えて問題を解決しています。オーソドックスなものは音を鳴らすことで「聴覚」に刺激を与えて起こし、光を使うものは「視覚」に刺激を与えています。決まった時間になるとブレスレットから電流が流れてその刺激で起こす目覚ましもあり、それは「触覚」に刺激を与えているものです。

 ここから考えると、設定時刻に苦い液を口に流し込んで「味覚」を刺激する目覚まし時計や、くさい煙が出て「嗅覚」を刺激する目覚まし時計があってもよさそうだなと思えてきますね。

 以上は少し不愉快な刺激の例ですが、快適な刺激を与える方法も考えられそうです。

「快適な刺激」で問題解決をする

 オーソドックスな目覚まし時計は「ピピピピ」という無機質な音が鳴りますが、包丁がまな板に当たるトントントントンという音にするとどうでしょうか。さみしい一人暮らしでも誰かが朝食をつくってくれているような温かい気持ちで目覚められるかもしれません。

 同じように、くさい煙ではなく、ご飯のいい匂いだったらさわやかな気分になることができそうです。目覚めて現実に戻ったときの虚無感は大きそうですが。

 人は日常で、さまざまな五感の刺激を体験します。そうした刺激はいろんな感情を呼び覚まします。いい匂いや好きな感触、懐かしい味や心地よい音など。

 自分の考えているテーマに、どんな五感体験を紐付けられるかというアプローチからも、アイディアを広げていくことができます。

【考えてみる】五感を刺激する目覚まし時計を考えてみよう(下図参照)

頭が柔らかい人の習慣「五感を使って考える」『一人暮らし用目覚まし時計』
起きる時間になると、電子音の代わりに野菜を切る包丁の音がして、味噌汁の香りが漂う。(『考える術』より)

『考える術』では、こうした五感を使って考える方法のほかにも「逆を考える」「情報から考える」「短時間で考える」など、自分らしいアイディアを次々と生み出せる71のワザを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

(本原稿は、藤原麻里菜著『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』の内容を抜粋・編集したものです)

藤原麻里菜(ふじわら・まりな)
1993年、横浜生まれ。発明家、映像クリエイター、作家。頭の中に浮かんだ不必要な物を何とかつくりあげる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。SNSの総フォロワー数は20万人を超え、動画再生数は4000万回を突破、その人気は中国、アメリカ、ヨーロッパなど海外にも広がっている。2016年、Google主催「YouTubeNextUp」に入賞。2018年、国外での初個展「無用發明展――無中生有的沒有用部屋in台北」を開催、2万5000人以上の来場者を記録した。Awwwards Conference Tokyo 2020、eAT2018 in KANAZAWA、アドテック2016東京・関西などで登壇。「総務省 異能vation 破壊的な挑戦者部門 2019年度」採択。最新刊に『考える術──人と違うことが次々ひらめくすごい思考ワザ71』がある。