河野大臣が問題視、M&A仲介の合理性の有無を「囚人のジレンマ」で考えるM&A関係者や株式市場関係者の間で話題となった、河野大臣の発言とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

河野大臣がブログやセミナーで指摘
M&A仲介ビジネスの利益相反問題

 昨年(2020年)12月、河野太郎・行政・規制改革担当大臣のブログが、M&A関係者や株式市場関係者の間で話題となった。(主に中小企業の)M&Aにおいて、売り手と買い手の双方から報酬を得る仲介ビジネス(仲介型)は、利益相反問題があると指摘したからだ。

 また一部報道によると、河野大臣はブログ執筆後の今年(2021年)1月にも、証券会社のセミナーで、中小企業のM&Aにおいて仲介業者が買い手・売り手の両方から手数料を取ることは利益相反であり、中小企業庁に働きかけてこうした慣習を変えたい、とコメントしたようだ。

 筆者が共同代表を務めるフロンティア・マネジメントでも、M&Aは主要業務の1つだ。しかし当社では、売り手と買い手の双方からの要望がない限り、仲介型M&Aは行わない。一定規模以上の企業は、河野大臣の指摘する利益相反問題をすでに認識しており、仲介型ではなく片側に就くアドバイザーを選好する。