投資対象としてゴールド(金)を保有している人はあまり多くないだろう。しかし、「ゴールドが近い将来最も有力な投資先になる」と提唱するのは、YouTube再生回数6000万回を超える人気投資家の高橋ダン氏だ。2月刊行予定の著書『ゴールド投資──リスクを冒さずお金持ちになれる方法』では、ゴールドに投資する根拠から投資の実践方法まで余すことなく語った。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

ゴールド投資Photo: Adobe Stock

機関投資家や金融機関が需要を支えている

 金を買ったほうがよい5つ目の理由は、百戦錬磨の著名な投資家や、投資情報に精通している金融機関が金を買っているからです。

 投資では経済動向や値動きなどを読み解く力や、そのための材料となる情報を集め、分析する力が求められます。

 著名な投資家や金融機関は、十分すぎるほどその力を持っています。つまり、彼らが真剣に考え、「金を買う」と判断したのであれば、金を買う十分な理由があり、値上がりも期待できるともいえるのです。

 また、著名な投資家や金融機関は資金力も優れています。

「3つ目の理由」で説明したとおり、投資商品の価格は需要と供給のバランスによって変わります。

 資金力がある人や機関が金を買うということは、金の需要が増えるか、少なくとも減る可能性は低いということですから、これも安心して金を買える要因といえると思います。

バフェットが投資している

 金を買っている著名な投資家の1人は、投資の神様とも呼ばれているウォーレン・バフェットです。

 厳密には、バフェットがCEOを務めるバークシャー・ハサウェイという会社が、金そのものではなく、カナダにあるバリックゴールドという金鉱山の会社に投資しています。

 バフェットについては様々な逸話がありますが、注目したいのは、やはり投資先を見極める目とこれまでのパフォーマンスです。

 経済誌が算出した2019年の長者番付によると、バフェットの資産は約825億ドルです。バフェットは、投資を本格的にはじめた20代前半のとき、手持ち資産が2万ドル程度だったといわれますから、60年くらいの間に資産を400万倍に増やしたことになります。

 ちなみに、1965年から2019年のアメリカ市場のパフォーマンス(S&P 500)が200倍ほどですから、この数値を比較しても投資の神様と呼ばれるにふさわしい人物だとわかります。

 バフェットの手法は、配当利回りを重視する割安な米国株への長期投資です。配当を再投資し、長期の複利運用で雪だるま式に資産を増やしていくのがバフェット流というわけです。

 このような投資戦略を主軸としているため、バフェットはかねてから金投資には消極的でした。金は配当を生まず、価格は上がるもしれませんが、金そのものが会社のように成長することもないからです。

 過去の記事などを読み返すと、「金は輝くだけで役に立たない」「何かを生み出すものではない」といった金投資に対する批判論のような意見もあります。

 そう考えると、バフェットが金への投資をはじめたことがとても深い意味を持ちます。金に対して、投資する価値、意義、必要性を感じたのだろうと考えられるからです。

 バフェットが買ったのは配当がある金鉱山の会社の株ですから、金そのものを買う金投資と同じではありません。

 割安かどうかはともかく、配当利回りを重視する株への投資という点から見れば、これまでの投資戦略とかけ離れた判断とはいえないでしょう。

 ただ、金や金を取り巻く業界にバフェットが投資する理由を見出したことに変わりはありません。バフェットの先見性とこれまでの実績を踏まえるなら、バフェットが金鉱株を買っているという事実だけでも金を買う大きな根拠になるだろうと考えています。