FastPay,Apple Pay,Android Pay,Samsung PayPhoto:Smith Collection/Gado/gettyimages

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で細菌恐怖症に取りつかれたレイチェル・カーマックさんは、アップルのモバイル決済サービス「アップルペイ」を使うしかないと考えた。そうすればプラスチックのクレジットカードのようにボタンを押したりレシートに署名したりする必要がなくなり、単にスマートフォンをかざすだけで支払いができるようになる。

 しかし、その計画は思ったようには行かなかった。アーカンソー州ジョーンズボロでファストフード店のドライブスルーを2回使用した際、車の窓から手を出してスマホをかざそうとしたところ、店員にスマホをつかまれてしまった。また、注文品を受け取る前に店員にアップルペイの使い方を教えなければならないときもあった。「あなたはただ読み取り機を持っていてさえくれればいい。私がそこにスマホをかざすから」。カーマックさんは戸惑う店員にこう伝えた。

 コロナはアップルやグーグル、サムスン電子が長年苦戦していたことを成し遂げた。より多くの買い物客にモバイルウォレットを使用させることだ。信用調査会社S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス傘下の451リサーチが実施した調査によると、コロナをきっかけにモバイルウォレットなどの非接触決済サービスを店で以前よりも頻繁に、または初めて使用するようになったと答えた人は約46%に上った。