資産1億円の作り方#18

株式投資で累積利益4億円を稼いだかぶ1000氏の投資術は、バリュー株(割安株)投資。企業が保有する資産を徹底的に分析し、その資産価値に対して割安な水準に放置されている株を買う手法だ。特集『資産1億円の作り方』(全19回)の#18では、その秘訣を惜しみなく開陳する。(ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

貯金40万円を元手に
中学2年から株式投資をスタート

 お手伝いをして得たお駄賃やお年玉をコツコツと貯金し、満期を迎えた郵便局の定額貯金40万円を元手に、株式投資で累積利益4億円を稼いだ、名物投資家のかぶ1000氏。投資を始めたのは、今から33年前の中学2年のときで、日経平均株価が史上最高の3万8957円を付けた前年、1988年のことだ。

 幼少の頃から数字が好きだったというかぶ1000氏は、祖母が経営する喫茶店の売り上げが変動することに対し、「どうして昨年より今年の方が、売り上げが増えたのだろう?」という疑問を持った。そこでかぶ1000氏は、「今年の方が暑かったから、冷たい飲み物を飲みに来る人が増えたのではないか」と、自分なりの仮説を立てていたという。

 そのかぶ1000氏に転機が訪れたのが、冒頭の定額貯金の満期だ。80年当時の郵便局の定額貯金の金利は年利7.12%だったが、8年後には1.68%にまで激減。これでは再び預金してもお金が増えないと思ったかぶ1000氏は、新聞で金利が高い金融商品を調べ、投資信託に目を付けたという。

 ところが祖父に、「投資信託は証券会社が手数料を稼ぐためのもの。男なら個別株で勝負したらどうだ」と言われ、祖母の喫茶店経営をつぶさに見ていたかぶ1000氏は、祖父の言う証券会社のもうけの仕組みを即座に理解。かぶ1000氏の個人投資家としての人生がスタートすることになった。