エン・ジャパンのバーチャルオフィスエン・ジャパンがコロナ禍で利用を開始したバーチャルオフィス 写真提供:エン・ジャパン

リモートワーク下で大きな問題となっているのが、職場のコミュニケーション不足だ。雑談が減った、気軽な相談がしづらくなったなどと、新入社員を中心に孤独感を深める人も少なくない。しかし、その一つの解決策として、バーチャルオフィスを導入した職場では、短期間でコミュニケーション不足の解消につながるなど大きな成果が現れている。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

在宅でも仕事に支障はないが
コミュニケーション不足に危機感

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、リモートワークを本格的に導入する企業が増え、間もなく1年が過ぎようとしている。最初は懸念の大きかったリモートワークだが、「意外と仕事が回る」「支障がない」と感じている人も多いのではないだろうか。

 しかしその一方で、業務上の必要最低限の会議や電話・メールのみのやり取りになり、雑談などを通して上司と部下、同僚の間でのコミュニケーションが以前より激減したのも事実だろう。こうしたコミュニケーション不足に不安を感じ、解決策を模索していたのが、エン・ジャパンの人財プラットフォーム事業部でマネジャーを務める峯崎直哉氏だ。新入社員7人を含む、4チーム約40人のメンバーを抱える同事業部では、2020年3月半ば頃からリモートワークを始めた。

「コロナ以前からWeb商談なども先んじて導入しており、リモートワークに移行しても正直、仕事に支障はなかった。ただ、何を目的にやっていくかというメンバーへの共有が難しくなったり、各チームリーダーたちからはメンバーが何に困っているのか、何ができていないのかが見えにくくなったという声をもらい、4月半ば頃には組織の運営に支障が出てきていると感じた」(峯崎氏)

 そこでまずは、意図的にランチ会や勉強会を設定することにした。半ば強制的に顔を合わせる機会をつくるためだ。さらに、チームごとに朝と夕方にはミーティングを行うことでコミュニケーションを活発化させようとした。しかし、いざビデオ会議システム上で話を始めると、会話が目的やアジェンダありきになってしまい、ラフな場ではなくなってしまっていたという。

「こうした取り組みでは、思いついたときに相談できたり、自然発生的なコミュニケーションを生んだりする場にはならなかった」(峯崎氏)

 そうした状況に対して、峯崎氏がハードルを下げた形で気軽にコミュニケーションが取れる方法を模索していたところ出合ったのが「バーチャルオフィス」だった。