半導体争奪戦#3Photo:filonmar/gettyimages

世界で争奪戦が繰り広げられている半導体は、米中の覇権争い、巨大M&A(合併・買収)など話題に欠かない。もはや世界経済を読むために、半導体の知識は不可欠だ。特集『勃発!半導体争奪戦』の#3では、ニュースが分かる半導体の基礎知識を徹底解説する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

争奪戦が激化する半導体
基本を知る三つのトピック

 世界的な半導体不足の影響は、トヨタをはじめとする自動車メーカーだけにとどまらず、他業界にも広がるとの見方が強まっている。

 半導体は、パソコン(PC)やスマートフォン、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、ゲーム、自動車、工場のほか、電車の運行管理や金融機関のシステム、電気やガスの制御など、ありとあらゆるところで使われており、もはや半導体なしでは企業のハイテク製品は製造できない。

 2020年の半導体市場は、コロナ禍で力強く成長した。テレワークと巣ごもり消費でPCやデータセンターの市場が拡大し、すでに半導体の生産ラインは埋まり、自動車向けの半導体の生産は後回しの状況だ。

 今後、自動車業界では、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転化に加え、中国を中心とする電気自動車(EV)化で半導体の需要がこれまで以上に増える。

 一方で、温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の推進にも半導体は重要だ。太陽光や風に左右される自然エネルギーは、半導体による需給調整が欠かせない。

 さらには、製造業のスマートファクトリー化や街づくりのスマートシティー化の普及とともに、 AI (人工知能)、IoT(モノインターネット)、5G(第5世代移動通信システム)の拡大で、半導体の需要は産業、金融のあらゆる分野に広がるだろう。

 今後、半導体が必要とされる場面が一段と増えていく中で、争奪戦が激化するのは必至。もはやデータ経済に半導体の知識は欠かせず、日々ニュースが溢れているが、本当の意味で半導体について理解している人は少ないのではないか。

 そこで、半導体をゼロから知るために

(1)半導体の製品と種類
(2)半導体のプレーヤーたち
(3)半導体業界の特異な構図

 という三つのトピックについて徹底解説しよう。この基本を頭に入れておけば、半導体に関するニュースの理解は格段に進むだろう。