『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』で取り上げたテーマは「組織文化」。2019年に開催されたラグビーワールドカップで、日本代表がベスト8に入りした要因は、“負け犬根性”から脱却し、ウィニングカルチャーを構築したことにあります。では一体、ウィニングカルチャーとは何なのでしょうか。

チームを強くするにはウィニングカルチャーが欠かせないPhoto: Adobe Stock

 過去2回の記事では、ラグビー日本代表が2019年のW杯でベスト8に入った背景には、“負け犬根性”からの脱却があるとお伝えしました(詳細は「ラグビー日本代表初のベスト8入りを裏側で支えた「組織文化」の変革」「主将の照れ笑いにブチ切れて日本ラグビー界を変えたエディ・ジョーンズ元監督」)。日本代表は、負け犬根性から抜けだしてウィニングカルチャーを構築しました。

 では、ウィニングカルチャーとは何なのでしょうか。

 それは、自ら問い続けることです。

「勝ちとは何か」「なぜ勝つのか」「どう勝つのか」「どこまで勝ち続けるのか」──。

 一度導き出した「解」をあえて自分で疑い、自問を繰り返し、過去の成果に甘えることなく、自分の殻を破って謙虚に学び続け、進化や成長を止めないこと。

 これが、私の定義するウィニングカルチャーです。

「ウィン=勝ち」とは、自分たちが定めた目標にたどり着くことです。

 この目標とは、何も目に見える成果だけではありません。企業であれば、売上高や利益の増加、シェア拡大、株式上場といったわかりやすい成果のほかにも、社員の幸福度や顧客満足度の向上、SDGs(持続可能な開発目標)の徹底、企業ブランドの浸透といった、目に見えない成果も目標になり得ます。

 大切なのは、掲げた目標を達成すべく組織が一丸となって動くことです。そして自分たちの掲げた目標を信じるだけでなく、あえて疑い、自問し、考え、進化し続けること。

 それがウィニングカルチャーです。

 私はこれまで、幅広い分野のリーダー育成や組織文化の変革に携わってきました。

 その過程で組織に属する一人ひとりのマインドが変わり、組織文化が変革されれば、強い組織へ生まれ変わるケースを何度も目撃してきました。だからこそ、改めてこう断言できます。

 組織文化が変われば、チームは必ず強くなる。

組織文化とは「問い」である

 組織文化とは極論すると、組織に属する人々が常に抱える、言葉にならない「問い」のことです。それは、ふとした行動や言葉に表れます。

 目には見えないけれど、組織の成果や評価、未来を激変させる力を持っているもの。それが組織文化です。

 未来へ続く強い組織を育てたい。

 リーダーがそう望むなら、真っ先に知り、変革し、そして進化・成長させていかなくてはならないものが組織文化なのです。

 組織文化は業績や制度のように具体的に目に見えるものではありません。そのうえ、組織の中にいる人が客観的に自分たちの組織文化を把握することも簡単にはできません。

 それゆえ、組織の根幹を成す大切なものでありながら、これまではなかなか実態をつかむことができませんでした。

 ぼんやりとして見えづらく、けれども組織の未来を左右する重要な「問い」。それを把握し、自分たちの目指す姿へ変えていく方法を、『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、お伝えしています。

 『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』では、成長を遂げるベンチャー企業から創業80年以上の老舗企業、巨大グローバル企業、“負け犬根性”から抜け出したスポーツチームなど、幅広い分野の組織を取り上げています。

 人数や規模は関係ありません。たった二人の小さなチームから、数千人や数万人の巨大組織まで、どんな組織も変わることができます。『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』を通して、みなさんとともに新たに学びを深めることができれば、これ以上の喜びはありません。

 さあ、ウィニングカルチャーをあなたのチームにもインストールしましょう。
(本記事は『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』の「はじめに」を再構成しました)