銅相場は、2020年3月中旬に1トン当たり4371ドルと16年1月以来の安値まで下落した後、上昇傾向で推移している。21年2月23日には9305ドルと11年8月以来の高値を付けた。

 新型コロナウイルスへの懸念から落ち込んだ昨春以降の相場上昇は、銅の最大消費国である中国の景気が拡大し、銅需要の回復につながったことが大きい。中国経済は、武漢市での感染拡大後の景気の落ち込みは大幅かつ急だったが、厳しいコロナ対策を導入した結果、立ち直ったのも早かった。6月には相場は6000ドル台に乗せ、7月にはコロナ前の水準を回復した。

 他にも銅相場の支援材料が相次いだ。10月にはチリの鉱山でのストライキが懸念されたことや、中国が銅の備蓄を積み増すとの観測で7000ドル台に達した。

 11月には、米大統領選挙でのバイデン氏勝利を受けて財政支出拡大による景気浮揚観測が強まった上、コロナのワクチン開発進展の報により経済正常化への期待が膨らみ、相場は急伸した。

 12月には、「雇用最大化と物価安定の目標に向けてさらなる進展が見られるまで」量的緩和策を継続する米金融政策方針が示され、ドル安が進んだことを受けて銅は8000ドルを上回った。